あの日高屋が「パスタ店」に乗り出す切実な事情 「一本足打法」脱却へ問われる多角化への本気度
ランチタイムの客単価も日高屋が600~700円程度なのに対し、新たに展開した各業態は1000円弱。ディナータイムについても「アルコール類の注文はやや少ないものの、日高屋の平均客単価(およそ1000円)とほぼ変わらない」(鈴木氏)。
ハイデイ日高が新業態の開発を急いでいるのは、同社の成長を支えてきた「ちょい飲み」モデルの限界が見えてきたためだ。これまで日高屋は、ビジネスパーソンが仕事終わりにアルコール類と食事を楽しむ「ちょい飲み」需要を追い風に拡大してきた。日高屋の成長が寄与し、ハイデイ日高は2019年2月期までの16期連続で増収増益を達成した。
日高屋の失速で多角化が急務に
ところが、働き方改革に伴う夜間客の減少を受けて、柱の日高屋が失速。採算の良いアルコール類の販売が減少しただけでなく、2019年10月の消費増税の際に中華そばや餃子など主力商品の値段を据え置いたことで、利益率が低下した。
また、人手不足の影響で、営業時間を短縮したことに加え、人件費の高騰などコストの増加も大きかった。その結果、2020年2月期は売上高422億円(前年同期比0.8%増)、営業利益40.9億円(同13.4%減)の増収減益で着地している。
さらに足元では、コロナ禍に伴う外出自粛でイートイン客の大幅減が痛手となっている。既存店売上高は一時、前年同月比50%を下回り、2020年9月の時点でも同19.3%減と、いまだに回復途上。会社側が「テイクアウトの売り上げが前年実績の倍以上に伸びるなど、普段使いのニーズも増している」(ハイデイ日高の島需一取締役)と言うように、事業環境にも変化が生じている。
こうした背景から、ハイデイ日高は業態の多角化を急いでいる。「これまでは絶好調だった日高屋をとにかく出店すればいいという空気が社内にあったが、売り上げの停滞とコロナ禍を受けて意識がガラリと変わった。今後の成長には食事メインの普段使いされるような業態が必要。ちょい飲みに頼りきりではダメだ」(鈴木氏)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら