オンライン初開催「CEATEC」、米CES超えの勝算 アマゾンウェブサービスなどIT企業が続々参加

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一方、ここ数年目玉となっていたIT・エレクトロニクス業界以外からの出展が大幅に減少している点は気になるところだ。

昨年も出展していた戸田建設のブース(筆者撮影)

竹中工務店や清水建設、戸田建設といった建設業界からの出展は見られるが、これまでに経験がないオンラインイベントの難しさが、異業種企業の出展を足踏みさせたといえそうだ。

近年培ってきた業界の枠を超えた「共創」に向けた展示会というコンセプトは、来年の開催形態がオンラインかリアルか、あるいはハイブリッドになるかを問わず、あらためて再構築する必要があるだろう。

もちろん、オンラインの特徴を生かした取り組みも相次いでいる。例年いくつかの基調講演は立ち見が出るが、今年はオンラインであるため、何人でも同時に参加できること、オンデマンド配信により、いつでも視聴したり、展示を見学できたりする環境が整っている点も特徴だ。

出展者向けには「ブース訪問履歴機能」を用意。訪問したブースの履歴を自動的に記録し、人気のある展示と、そうでない展示がリアルタイムでわかるようにした。このデータを基に、人気がない展示は、会期中に内容を入れ替えることができる。これもオンラインならではの方法だといえる。

実施協議会の鹿野氏は、「今回のオンライン開催のために、魅力的な動画コンテンツを用意している企業などがある。また、『オンラインだからこそ』と気合いを入れて準備をしている企業が多い」と語る。

オンラインならではの機能を充実

主催者側では、リアルの展示会を補完するような機能も用意している。展示エリアでは、「コミュニケーションチャット機能」を使用して、リアルの会場で、ブースの説明員と気軽に会話ができるのと同じように、出展企業とリアルタイムで対話できるようにした。

「シーテック GO」と呼ぶ機能では、PCなどの画面上にランダムで展示内容を次々と表示。「展示会場をブラブラと歩きながら出会うのと同じように、検索やお勧めだけでは出会うことができない、偶然の出会いを実現する機能」と位置づけている。

今回のシーテックは、オンラインイベントのプラットフォームを独自に構築し、準備を進めてきた。「出展者からも多数の意見をもらい、プラットフォームの修正を何度となく繰り返してきた」という自信作でもある。

主催の実施協議会を構成するのは、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体だ。

オンラインでのイベント開催は、3つの団体が対象としているIT、エレクトロニクス、情報通信、ソフトウェアを融合した技術によって成り立つものであり、いわば「地元開催」と表現することもできるだろう。

来場者20万人超の目標は、IT、エレクトロニクス、情報通信、ソフトウェアの業界団体の威信をかけた挑戦といえる。

大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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