「老後資金に満足している人」が50代にしたこと 50代からお金をしっかり貯める5つのコツ
前項の「使えるお金」を計算する際、見落としがちなのが年間の「特別支出」だ。たとえ月々の収支が黒字に見えても、各種の税金、冠婚葬祭の支出、お中元やお歳暮、旅行やレジャー、家電の購入、家のリフォーム、車の維持費、孫へのお祝いなど、年間ではさまざまな支出があり、そのたびに貯金を取り崩すことになる。総額を把握できていない方も多い。50代のうちに全体像を把握し、本当に必要か、額が妥当かなどを見直しておくことが重要だ。
言い換えれば、支出に優先順位をつけているということ。「毎年の海外旅行だけは譲れない」「食事が楽しみだから食費は削りたくない」など、自分が大切に思うものを決めてそこには十分にお金をかけ、それ以外の支出を抑える。
そのようなメリハリのついた消費ができていると、老後も満足度の高い生活ができる。リタイア後、自分は何を優先し、どんな楽しみを持ちたいのか、そのためには月にいくらくらいあればよさそうか。一度じっくりと考えて、支出のバランスを見直してみよう。
5つの中で最も「重要」なのは
当たり前のことだが、限られた年金収入のなかでやりくりするのだから、節約上手になることは必須だ。といってもやみくもに支出を減らせばいいということではない。「賢い節約」、すなわち生活の質を維持しながら無駄な支出だけを減らす。
スマホや光熱費のプランを見直す、あまり使っていないサービスは解約する、同じものをより低価格で買えないか調べてみる、おトクな制度を利用する──などなど、「賢い」消費者としての習慣を早くから身につけておくこと。これにより、収入が年金だけになってからも生活の質を維持できる。
実はこれが意外と大事なポイントで、しかも個人差が大きい。キャッシュレス、マイナポイント、GoToキャンペーン……。ここ1~2年の間でも、お金にまつわる新しいサービスや制度が次々に生まれているが、理解して活用できる人とそうでない人が存在し、その差が家計の差となって表れる。
資産運用や税制に関する仕組みは頻繁に更新されるし、シニア世代を対象とした割引サービスも日々登場している。新しい情報をキャッチするアンテナ、面倒がらずに活用してみる実行力を、50代のうちから磨いておこう。
前述の5つのうち、50代にとってとくに重要なのが「特別支出」の見直しだ。あなたはわが家の特別支出が、年に何万円くらいかかっているか、把握しているだろうか。毎月の収支があっていればおおむね問題ない、と思いこんでいないだろうか。「とくに贅沢もしていないのに、いつの間にかお金がなくなる」という方は、この特別支出が想定を超えてしまっているケースが多い。
アンケートに答えてくれた方のなかから、Tさんの例を紹介しよう。
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