「老後資金に満足している人」が50代にしたこと 50代からお金をしっかり貯める5つのコツ

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現在の貯金は500万円。数年前に娘が家を建てるとき、1000万円を貸したため、目減りしてしまった。現在は夫に給与収入があり、ご本人もパートで働いているため、月の収支は10万円程度の黒字だが「老後資金が足りているのかわからない」と話す。

よく調べてみると、月の支出以外に年間40万円以上の特別支出があることがわかった。税金に7万円、孫への支援に15万円、冠婚葬祭に10万円、その他もろもろで10万円。これらを引くと、実は年間では数十万円しか貯金が増えておらず、このまま年金生活に突入した場合、老後資金が足りなくなる事態が予想される。

「娘さんと率直に話して、貸している1000万円を毎月少しずつでも返してもらう」「若いころから支払い続けている保険を一度見直して、必要な保障だけに絞る」「なんとなく続けてきた親戚づきあいのための交際費は、予算の上限を決めて管理する」といった見直しをしてみることになった。

とくに子どもとお金の話をするのは気が重い、という人も多い。しかし、将来老後破綻してしまったら、結局は子ども世代に負担をかけることになる。自分の人生を自分のお金でカバーできるようになるためには、早いうちから今までの「当たり前」を見直していくことが重要だ。

暮らし上手が実践する身近な節約術

最後に、誰でも今日からできる節約術をいくつかご紹介しよう。先述のお金アンケートでは、55~79歳の読者が実際に行っている節約術についてもきいている。複数回答によるランキング結果は以下のとおり。

1位外食を控え、自炊する(62.4%)
2位お店が発行しているポイントを貯める(59.2%)
3位電子マネーやスマホ・カード決済でポイントを貯める(53.2%)
4位節電する(51.0%)
5位節水する(38.5%)
6位携帯電話の料金プランを見直す(32.4%)

どれも当たり前のことに見えるかもしれないが、それでも「やっていない人」が半数近くいる。あなたはどうだろうか。

「知っている、わかっている」ことと、「実際にやっている」ことは違う。50代からは「実践」のフェーズだ。遅かれ早かれ、あなたにも「給与収入がなくなって年金収入と貯金だけで生活をする日」がやってくる。

その日に備えて、1日も早く、特別支出の見直しや身近な節約をスタートし、暮らしをシンプルに、備えを充実させることができるかどうか。その意識と実行力の差こそが、将来の安心の差になるのかもしれない。

山岡 朝子 『ハルメク』編集長

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やまおか あさこ / Asako Yamaoka

新卒で「主婦と生活社」に入社後、主に暮らしや住まいの雑誌の編集長を歴任。2017年7月にハルメク入社、8月に同誌編集長に就任。約2年で実売部数を約2倍に引き上げた。

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