京セラ、「タフなケータイ」であえて勝負の理由 防水・防塵機能を強調、ニッチ戦略で生き残り
2007年のiPhone登場以降、スマートフォンの拡大とともに日本メーカーの携帯電話機器事業は勢いを失った。2001年には11社が参入していたが、今も一般消費者向けに新製品を出し続ける日本のブランドはシャープ、ソニー、富士通、京セラの4社だけになった。
このうち、富士通は2018年3月に携帯端末事業を営む子会社の株式の大半を投資ファンド「ポラリス・キャピタル・グループ」に売却。2019年4月に全株をポラリスに譲渡した。
極端なニッチ戦略で生き残り
日系メーカーはかつて、NTTドコモなど通信事業者との強固な関係を築く戦略をとっていたが、それは今や崩壊し、日本国内シェアの45.4%をアップルのiPhoneが握る(IDC Japan調べ)。もともと強くなかった海外市場でも、韓国のサムスン電子や中国のファーウェイ、シャオミ、オッポなどに大きく差をつけられており、日本勢で世界シェア1%以上を持つメーカーは存在しない。
その中で、極端なニッチ戦略をとることで異色の存在となっているのが京セラだ。他社と同様に販売減に苦しみ、2010年代半ばには携帯電話端末事業は赤字に追い込まれた。一時は撤退もささやかれたが、2016年から取り組んだ構造改革の効果もあり、2018年3月期を最後に赤字から脱却。2021年3月期はコロナ禍にあっても売上高が減少しても十分な利益を見込めるという。
スマホ市場が前年比10%以上落ち込む中、京セラの携帯電話事業が黒字を確保できるのはなぜなのか。
「アップルやサムスンと同じようなグローバルモデルで戦ったときに、ブランド力、規模の経済で勝負にならない」。京セラで2016年4月から通信機器事業を統括し、構造改革を率いてきた厳島圭司常務はこのように語る。
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