京セラ、「タフなケータイ」であえて勝負の理由

防水・防塵機能を強調、ニッチ戦略で生き残り

このようにアメリカ市場ではシェアを獲得できたものの、日本国内では苦しい戦いが続く。国内のタフスマホ市場は小さく、収益を見込める規模まで販売を拡大するには、一般消費者に向けたアピールが必要となる。

例えば、サイクリングや登山などのアウトドア向けにタフスマホを売り出すが、家電量販店や携帯ショップで存在感を得るには至っていない。タフスマホとは別に、高齢者や子ども向けに簡単に扱えるスマホも販売しているが、こちらも市場が大きくない割には富士通やシャープといった競合がいる。

5Gへの対応も遅れている。京セラはこれまで「(5Gで使える)コンテンツがどのようなものかわからない」(谷本秀夫社長)との理由から、5G対応スマホの開発に及び腰だった。5G向けに使われる通信用半導体がアメリカのクアルコムに牛耳られており、高価なものしかなかったことも開発をためらわせた要因だった。

5Gスマホで出遅れ感

2020年中の5Gスマホ発表を目指すが、出遅れ感は否めない。厳島氏は「われわれの商品戦略やブランドとの整合性から(2020年春に各社が出した5G対応製品の)第1陣に加わる必要はなかった」と話すが、出遅れが将来響くことはないのか。

今後はレストランの注文用や遠隔授業用のタブレットなど、市場は小さいが、特定分野におけるニーズの強い製品を生み出せるかがポイントになる。

長年スマホ事業の赤字に苦しんできたソニーは2021年3月期、4年ぶりに黒字に転換する見通しだ。ソニーは、得意とするカメラや映像表現での性能を極端に高くすることでニッチな顧客をつかむことに成功した。販売地域や対象顧客を絞り込み、売上高が減少しても利益をあげられるようにした点は京セラと似ている。

かつて「ガラパゴス」と呼ばれた日本の携帯電話。令和時代に生き残るための1つの解が、京セラのニッチ戦略に見出せるかもしれない。

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