京セラ、「タフなケータイ」であえて勝負の理由 防水・防塵機能を強調、ニッチ戦略で生き残り

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コンデンサーなどの(電子)部品を数多く手がける京セラにとって、通信端末事業からの撤退は考えられなかった。端末事業は他事業との相乗効果が高く、IoT化が進む昨今、通信端末を開発・製造する技術を持つことで、部品やネットワークサービスなどほかの事業に良い影響を与えられる。厳島氏は「通信技術は一度手放すと、二度と手に入れられない」と話す。

ただ、5Gや有機ELディスプレイなどスマホ端末の高度化技術は日進月歩。莫大な開発費をかけられるアップルやサムスンなどと正面から勝負をしても勝ち目は薄い。そこで京セラが目をつけたのが、工事現場や警察、消防で使われる「タフなケータイ」だ。

軍隊でも使用できる頑丈さ

工事現場で使うスマホには、一般の製品にはない特殊な性能が要求される。防水機能だけでなく、ほこりが多い環境にも耐えられる高度な防塵機能も必要になる。汚れてもせっけんやアルコールで手入れでき、手袋をしていたり、手が濡れていても使えるといった点は、iPhoneなどではあまり重視されていない要素だ。

今ではほとんどのスマホから姿を消したボタンも、粉塵や水にさらされることの多い現場仕事ではニーズが高い。

京セラで通信機器事業を統括する厳島圭司常務(記者撮影)

京セラの携帯は、衝撃や日光への耐性でアメリカ国防総省が定める16項目の耐久試験をクリア。軍隊でも使用可能な頑丈さを売りに、2016年以降、建設業など向けの販売を強化した。アメリカでは警察官や消防士、救急隊員が持つスマホとして一定の評価を得ており、ホテルの従業員が襲われたときにSOSを簡単に発することのできるスマホなども人気だという。

京セラはスマホ端末事業が継続的に収益を上げていくためには少なくとも年間1000億円以上の売上高が必要だとみており、そのための構造改革(と生産体制の構築)を2016年から本格化させた。2017年にはマレーシア工場を閉鎖し、生産拠点は国内1カ所に集約させた。

設計部門の技術者に対して設計や販売にかかる費用をすべて開示し、「開発者を含め、すべての社員がトータルコストを意識して生産することを徹底させた」(厳島氏)。アメリカの販路はBtoBに強いベライゾンとAT&Tの2社だけに絞った。生産を日本国内のみしたことで、「メイドインジャパン」としての信用も得られた。

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