N-ONEが前例のないモデルチェンジをした理由

外観を変えず中身だけを刷新した新型車の意味

BMWミニは、2001年に初代がデビューしてから、すでにいくつか世代を重ねているが、そのフルモデルチェンジは毎回、非常に微妙なもので、詳しくない人であれば、その変化に気づかないだろう。

また、2018年に発売された新世代のジープ「ラングラー」も、新型と先代モデルのデザインの差は非常に小さい。さらに言えば、ポルシェの代表モデルである「911」も、旧世代のイメージを濃厚に残すフルモデルチェンジを行ってきた。

そして、それらに共通するのが“強烈な個性”であり、ヘリテージとも呼べる歴史、そして誰もが知る高い知名度、いわゆる“ブランド”そのものと呼べるものだ。そして、そうしたブランドには、どれも根強いファンが存在している。

つまりは、新型N-ONEが新型になってもデザインを維持するのは、そうしたブランドとして認められるような存在を目指すことの表れではないだろうか。N-ONEというブランドを育てていこうという狙いが見える。

N-WGNとの関連性

では、なぜN-ONEが、そうした道を選んだのか。それは、ホンダの軽自動車のラインナップに理由があると言える。ホンダの軽自動車は「Nシリーズ」と呼んで、大人気のスーパーハイトワゴンの「N-BOX」から商用ミニワゴンの「N-VAN」まで数車種を揃える。そこで問題となるのが、その間にN-ONEとN-WGNという2つの車種があることだ。

2013年に発売された初代N-WGN(写真:ホンダ)

Nシリーズは、2011年11月のN-BOX発売を皮切りに、翌2012年11月にN-ONEを発売し、次々とバリエーションを増やしてきた。スーパーハイトワゴンのN-BOXに続いて、当時の一番の売れ筋だったハイトワゴンのN-ONEが発売されたことで、“Nシリーズは完了”と思っていたが、翌2013年には同じハイトワゴンのN-WGNが追加されたのだ。

これには正直、「なぜ、ここに2つの車種を作るのか」と疑問に思ったものだ。ホンダの言い分としては、N-ONEは「1967年にリリースしたホンダ初の軽自動車であるN360をモチーフにしたモデル」であり、N-WGNは「新しいベーシック」であるという。

言ってしまえば、N-ONEはパーソナル色を強めた、ちょっぴりいいクルマ。ホンダのブランドアイコン的なポジションである。一方、N-WGNは、ライバルであるスズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーヴ」とのバチバチの競合車だ。N-WGNには、競合と同様にドレスアップ・バージョンの「カスタム」が用意されているのが特徴となる。

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