「MX-30」が従来のマツダ車と決定的に違う理由 クルマ好きじゃないユーザーを狙った味付けに

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マツダが積極的に発信している外装色は、全車ソウルレッド・クリスタルメタリックで、次にマシーングレー・プレミアムメタリックだ。さらに、マツダの全車がボンネットの長い魂動デザインで、なおかつホームページなどに掲載する写真の外装色を赤に統一していることから、どれも同じようなクルマに見えてしまう。好きな人には「マツダ3」「マツダ6」など8車種すべて歓迎されるが、好みに合わない人の全滅は免れないだろう。

運転感覚も同様で、今まではすべてのマツダ車において、操舵感は小さな舵角から正確に反応し、ドライバーが車両との一体感を得やすい味付けとなっていた。峠道などを走ると、車両を内側へ向けやすく、旋回軌跡も拡大させにくい。そのため運転が楽しく、クルマ好きにはピッタリのフィーリングだ。

その代わり、穏やかで柔軟な乗り心地を求めるユーザーが運転すると、スポーティすぎると受け取るだろう。それらの魂動デザインと走りの味付けにより、開発者が述べた通り、クルマ好き以外のユーザーはマツダ車に興味を持ちにくく、性別についても女性が少ない傾向となる。

こういったスポーツ志向の商品開発も大切な個性であるため、好調に売れれば問題はないのだが、マツダ車の販売台数の伸び悩みは否めないのが現状だ。

コロナ禍の影響を受ける前の2019年に、マツダは日本国内で20万3576台を販売しているが(OEM軽自動車などを含む)、この販売実績は2010年の22万3861台を下回っている。

ちなみに現行マツダ車の発売年は、「マツダ6」(旧アテンザ)が2012年、「マツダ2」(旧デミオ)は2014年と古いものの、ほかの車種は全般的に新しい。それでも売れ行きは下り調子で、一連の赤をモチーフにした魂動デザインの車種だけでは、マツダのラインナップは不十分という判断が下されたのだ。

重視したのは個性より快適性

そこで開発されたのがMX-30だ。外観はボディの側面を水平基調にし、シンプルに仕上げられた。

CX-30はドアパネルが曲面で仕上げられており、周囲の風景がダイナミックに映り込むが、MX-30の演出は控え目で、その代わり穏やかでリラックスできる雰囲気を漂わせる。

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