3月に入ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインお見合いが盛んに行われるようになった。
あるとき、満江から連絡がきた。
「申し込まれたこの男性の中に2人、気になる方がいます。出て行ってまで会う気持ちにはないけれど、オンラインならお見合いしてみたいです」
そこで、その2人の男性とのオンラインのお見合いをすることになった。ところが終えてみると、2人の男性からお断りがきた。
これは、さもありなんで、“出て行ってまで会いたくはないけれど、オンラインならお見合いしてもいい”。そんな満江のおごった気持ちがお見合いの会話の端々に出たのではないか。そんな女性と結婚したいと思う男性はいない。
自分が妥協してお見合いした相手からお断りをされて、満江はますます婚活に失望し、うまくいかない状況に怒りを覚えるようになっていった。
申し込んでまで会いたい人ではない
4月に入り、緊急事態宣言が出された。仕事がリモートワークになったという満江から、連絡が来た。
「実は直属の上司に、婚活を始めたことを伝えていたんです。それで上司から『緊急事態宣言期間中は、婚活をやらないように』と釘を刺されました。
『あなた個人にとって婚活は不要不急の外出ではないかもしれないけれど、会社で働いている人間として考えるなら、それは不要不急の外出です。あなたがコロナの感染者になったらいちばん迷惑を被るのは、一緒に働いている人たちなので、そこを自覚してください』と言われました。今月は休会とさせてください」
さらに、こう続けた。
「ただ今お申し込みがきている中で、2人お見合いを受けたい男性がいるんです。どうしたらいいでしょうか?」
そこで、私はこんなアドバイスをした。
「今は受けずに、お見合いを流してしまったらどうですか?」
結婚相談所の場合、受けたお申し込みも、かけたお申し込みも、なんの返事もしなければ2週間で無効となるという規約がある。
「今回は流してしまって、コロナが落ち着いたときに、こちらから申し込みをかけたらいいと思いますよ。もちろんそのときに、お2人の男性がまだ活動を続けていればの話ですけど。
そして、そのお申し込みをかけるときに、私が相談室に、『お申し込みをいただいたのが緊急事態宣言中のこともあり、お見合いが受けられませんでした。今どなたともお付き合いしていなかったら、お見合いを受けてくださいませんか?』とメッセージを添えますよ」
すると、満江は言った。
「申し込まれているから、お見合いしてもいいと思ったんです。こちらから申し込みをかけてまで、お会いしたい相手ではありません」
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