米FRBの出口戦略、利上げはまだ遠く

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 FRBも短期の流動性対策は打ち切ってきたが、ABS(資産担保証券)を担保とするTALF(ターム物資産担保証券貸出制度)については、昨年12月末に終了予定だったものを3月末まで延長。このうち新規CMBS(商業用不動産担保ローン)を担保とするものは6月末まで延ばしている。実際はあまり使われていなくても、終了するというアナウンスメント効果による地合いの悪化を懸念したためだ。

バランスシートは危機前の2倍に膨張

10日の発表原稿では、「金融政策と資産買い取り策」についても説明している。その中で、利上げ前にリバース・レポ取引(債権を担保にした現金調達)やターム物預金などを使い、超過準備預金=過剰流動性を吸収する政策を提示している。

準備預金(FF)が膨らんだ結果、FF金利市場の活動や流動性は低下しており、機能していない。そこで指標としてのFF金利の信頼性が低下したままであれば、当面は銀行の準備預金に対する利息と準備預金量を、金融政策の新たな短期金利の目安としてこれに替えるかもしれないとした。

経済実態の悪さや、そうした手順を踏まえると、11月の中間選挙の前に本格的な出口を模索することは考えにくいだろう。

もう一つ、FRBは大きな問題を抱えている。短期の流動性対策と資産買い取りプログラムの結果、バランスシートは危機前の2倍以上の2・2兆ドルまで膨れ上がっている。

短期のものは終了に伴い減っていくが、問題はMBS(モーゲージ担保証券)や住宅金融公社のエージェンシー債1・1兆ドル。市場を不安定化させないように、「これらの売却をすぐに行うつもりはない」としている。利上げという出口後も、このリスクは抱え続けることになる。

(大崎明子 =週刊東洋経済)
Image:Dan Smith Creative Commons Attribution-Share Alike2.5

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