米FRBの出口戦略、利上げはまだ遠く

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 政策についてバーナンキ議長は、「家計やビジネスにとって金融環境の引き締めにつながるとは想定しておらず、金融政策の見通しが変化すると解釈されるべきでない。1月のFOMC(連邦公開市場委員会)と変わらない」と説明している。政策金利であるFFレートについては異例の低金利が「さらに長い期間(for an extended period)」になるという、いわゆる“時間軸効果”のスタンスも重ねて示している。

にもかかわらず、市場は公定歩合引き上げの後にFFレートの引き上げが近いと見たようで、米国の株価は反落してドルは買われた。

公定歩合による連銀貸し出しには、もともと1%という懲罰的なスプレッドが乗っていた。しかし流動性危機の後、銀行が使いやすいよう、0・25%にまで下げた経緯がある。

みずほ証券の上野泰也チーフエコノミストは「公定歩合による連銀貸し出しは使われなくなっており、制度の正常化は当然。一方、政策金利は経済の実態に合わせてしっかり据え置くことで、両者ははっきり分けられている」と説明する。上野氏は公定歩合引き上げについて、モーゲージの買い入れ終了(3月)の影響を見極めた後の4月27~28日のFOMCと予測する一方、FFレート引き上げについては「財政悪化の中で、景気下支えのために金融は緩和ぎみにならざるをえない。11年の半ば以降までできないだろう」と見る。

バーナンキ議長は雇用市場の低迷と銀行の貸し渋りを“逆風”としているので、「この状況が変わらない以上、利上げは難しい」と指摘する。

いまだに、金融システム不安はくすぶっている。商業銀行のローン延滞率は上昇を続け、担保となる商業用不動産は値下がりしている。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事