NTT社長が露骨に示した稼ぎ頭ドコモへの不満 完全子会社化は携帯料金値下げへの布石か

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NTTがドコモの完全子会社化を検討し始めたのが今年4月中旬で、6月に協議を始めたという。このタイミングで決めた理由について、NTTの澤田社長は、「ドコモの収入・利益が(国内通信会社の中で)3番手になったことが大きい」と不満を隠さなかった。この「3番手」という言葉を口にするたびに、澤田社長はドコモの吉澤和弘社長に「ごめんね」と声をかけるものの、吉澤社長は苦笑いを見せるのみだった。ドコモは携帯契約数でこそシェアトップだが、他社と違い値下げによる減益影響を埋めるものがなかったのが実情だ。

TOBと併せて、今年6月にNTT副社長からドコモ副社長に転じた井伊基之氏のドコモ新社長就任も発表された。「(澤田社長からは)値下げで減益になったドコモで、コスト削減や競争力強化を進めてこいと言われていた」(井伊氏)。一連の動きはNTTの強い意志が見て取れる。

連携の効果はどこまで出るか

そんな中、今回俎上に載せられたのが、KDDIやソフトバンクと比べても手薄だった法人事業の強化だ。ドコモを取り込み、固定・無線両方の法人向けソリューションを担うNTTコミュニケーションズや、システム開発を手掛けるNTTコムウェアの2社との連携を強化する。今後、この2社をドコモに移管することも検討する。グループの一体的なサービス展開をより強化する格好だ。

「これまではモバイルだけの視点で事業をやってきた。ただ領域を広げないと(5Gが本格化する)競争に打ち勝てなくなっている」。ドコモの吉澤社長はそう説明した。もっとも、ドコモの収益力が後退したとはいえ、営業利益率が2割近くあり、今なおNTTグループの半分以上の利益を稼ぎ出す親孝行な子である。NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズなど固定回線中心の事業会社は頭打ちで、今後もモバイルを担うドコモが中核になる。

オンライン開催となった9月29日の会見は、NTTの澤田社長とドコモの吉澤社長が狙いを淡々と説明し、どこか殺伐とした雰囲気もあった。そして、買収や子会社化の会見の最後に”お決まり”ともいえる両トップの握手はなかった。28年の時を経て本当に一体的なサービス展開が実現するのか。一体化したからといって、NTTがドコモの力を生かし切れるという保証はどこにもない。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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