アップル最新iPadが「日本の教育」を変えるワケ 安心して学習が続けられるインフラになる

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特に日本市場においては、GIGAスクール構想で、小中学校の生徒1人1台のコンピューター環境を整備する市場の拡大も意識されている。Apple Pencilやキーボードなどのオプションも必要になるが、ロジクールなどのサードパーティー製品を使えば、トータルで4万5000円に収まる。これはGIGAスクール構想の補助金額に相当する。

iPadは品質の高いカメラを搭載し4Kビデオ撮影を実現、さらにそのビデオを端末上で直接素早く編集することができる性能を保持している。iPadを導入した自治体の教員からは、コンピューターを生かした新しい学びを実践しようとしており、そのパートナーとして最適であるという意見が、次々に取材で飛び出してくる。

iPadが変えている学びの現場

大阪府枚方市で子どもの学びの未来を設計している学校教育部教育指導課長の嶋田崇氏は、ICT活用のゴールに、「個別最適化」「情報活用能力」「主体的、対話的」を掲げていた。

大阪府枚方市の中学校でのiPadを用いた授業。天気予報を作る理科の授業で、生徒が自分のiPadを用いて発表している(筆者撮影)

そうした中でiPadを選定し、デバイスの使い方の習得をほとんどスキップしながら、ビデオやプレゼンテーション、他市との交流などを実現できた点を、iPadのメリットとして挙げた。

例えば理科の授業では、独自の天気予報番組を制作する過程で天気図や実際の天気への影響など、必要な知識を学んでいくグループワークを実現した。映像やアニメーションを各自のiPadで作り、それらを1つのiPadに集めて編集し、ナレーションを加える。そんな作業が当たり前のように行われた。

また、生徒同士で熊本市と防災の情報で交流したり、JAXAの職員への遠隔職業講話を実現したり。教室を飛び出した学びを手軽に行える、フットワークの軽さが光る。

神奈川県鎌倉市の小学校で行われているiPadを用いた授業。グループ学習では鎌倉市の魅力をビデオにまとめて発表していた(筆者撮影)

神奈川県鎌倉市教育委員会教育指導課長の石川眞喜氏は、写真やビデオの取り扱いが強い点、またセルラー版を選択したことを強みだという。小学校6年生は、鎌倉市の魅力を1年間かけた取材から映像にまとめる学習を進めており、iPadで市内を取材する際にも、どこでもインターネットに接続できるセルラー版のiPadが役立っているという。

石川氏は「子どもたちがクリエイティブなことをやってみたいときのツール」だと位置づけている。またセルラー版の採用で、持ち帰った際に家庭にWi-Fi環境がない場合でも、心配せず学びの環境を維持できる。

今後、新型コロナウイルスやインフルエンザによる学級閉鎖や休校が起きたとしても、学びを止めず、安心して学習が続けられるインフラともなるのだ。

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