「外国人労働者=苦労人」と思う日本人の誤解 異国の自由を謳歌するベトナム人たちの生き様

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日本語学校を出てから、専門学校や大学に入るというコースはトゥイさんと一緒だ。それから大塚にある外国人専門の不動産屋に就職を果たしたのだという。

「僕のほかにも、何人か外国人のスタッフがいるんです。中国人とかネパール人とか」

これだけ外国人が増えた日本社会でも、まだまだ誰もが住む場所には苦労しているのだという。外国人に部屋を貸してくれる物件は限られるのだ。それに契約時には、日本人だって面倒なあれやこれやの書類の束との格闘が待っているわけだが、これらはすべて日本語だ。日本に来て、さあ住む部屋を探そうという外国人にとっては、いきなりの高いハードルなのである。

そこで、外国人専門に住居を斡旋するビジネスが成立するというわけだ。彼はその職場のある大塚から、仕事が終わると山手線で新大久保までやってきて、仲間たちと会い、ひとしきり話す。本当に毎日、まさに日課なのだという。

「ここは日本語学校で知り合った友達に連れてきてもらって知ったんです。こんなに同じ世代のベトナム人が集まっている場所があるなんて、知らなかった」

青春を謳歌するチャンさんと仲間たち

チャンさんの仲間たちの立場はさまざまだ。あいつはまだ日本語学校に通ってる。あの子はホテルに就職した。こいつは親戚がやってるベトナムレストランで働いてるんだ。向こうの彼はこれから居酒屋で夜勤だって。それとあのギターを弾いてるやつは、日本で起業を考えてるって言ってる。

「みんな、家族のようなんだ。きょうだいのようなんだ」

この国で暮らしていれば、きっと母国にはないストレスがあるだろう。コンビニや居酒屋で黙々と働いているベトナム人たちを見ていれば、それはなんとなく察しがつく。一日の終わりにはくたびれ果てているかもしれない。

だけど、ここに来れば見知った顔がいて、その日の出来事やぐちを語り合い、馬鹿な話をして、歌うことができる。学校や仕事で使っている言葉ではなく、故郷の言葉で。

話題はさまざまだ。「外国人留学生は週に28時間しかアルバイトできないから、生活が苦しい」なんて話はもう誰もが飽き飽きした定番だ。もっと割のいいバイトはないか、ビザが更新できるだろうか、帰国したあいつは元気でやってるか、バイト先のコンビニで日本人客に偉そうに怒られて頭に来た、そんなことより今度はみんなで休みを合わせて富士山に行こうぜ、そういえばあいつとあいつが付き合ってるらしいよ……。

そんなかまびすしい声が、夕暮れの「エッグコーヒー」には満ちている。いまの毎日への不満や怒り、日本社会への親しみと反発。それでも、その中から、外国生活の楽しさを見つけようと、将来をつかもうと躍起になっている。むせかえるほどに、青春なのである。

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