郷原信郎「検察は神ではなく人は間違いを犯す」 日本人が人質司法にあまり違和感を持たない訳

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質問に答える郷原弁護士(撮影:木野龍逸)

ゴーン事件に関連しては、グレッグ・ケリー元日産取締役の裁判が始まっている。ゴーン被告の国外逃亡を手助けしたとして米国で拘束されている元米軍特殊部隊員2人についても、東京地検は身柄の引き渡しを求めている。ただ、歴史をひも解けば、外国から日本に引き渡しが行われた例は極めて少ない。

――日本の刑事手続きに批判的な先進国が多いことを考えると、ゴーン事件でも、元米軍特殊部隊員2人の日本への引き渡しは難しいのでは、と思えます。

「アメリカ側からすると、仮に裁判所が引き渡しを認めても、国務省が認めるかどうかは別です。そこは政治判断じゃないでしょうか。今まで、アメリカが自国民を日本に引き渡したことはないと思います。ということは、必ず、日本のような刑事司法にアメリカ人を委ねていいのかという問題になります」

「ゴーン事件は、ゴーン氏が海外に逃亡したから終わりではありません。グレッグ・ケリー被告の公判もあります。事件の影響で、国際企業の経営者は日本に来にくい状況にもなっています。そういう点もしっかりと考えないといけない。刷新会議はとてもいいタイミングです」

外部の目で刑事司法を評価することが重要

――弁護人立ち会いについては、刑事司法の専門家に委ねるべきであり、民間人も委員になっている刷新会議では論点にするべきではない、との意見があります。

「刑事手続きの問題は、何がどう行われているかを熟知していないと議論しにくいのは間違いありません。では、どういう場で議論するのがいいか。刑事司法の当事者たちは、今のやり方に慣れ親しんでいて、問題点に気づきにくいのも確かです。内部で何が行われてきたのかを外部の目で見て、評価してもらうのがとても重要だと思います」

「刑事司法の素人が刷新会議の委員に加わっているといっても、細かな制度の話などは法務省側に聞いていけば、ある程度の議論はできるでしょう。日本の司法はいま、大きな転換点です。国際社会からの批判にさらされるゴーン事件という黒船が来たときに変えないと、絶対に変わらないでしょう」

取材:木野龍逸=フロントラインプレス(Frontline Press)所属

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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