コロナ感染、28歳の彼が味わった隔離7日全記録 本人、同居人、職場など周囲には何が起こったか

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ホテル隔離が終了した沢田さんは、その翌週には職場に復帰した。

「ジムでコロナが出たことをすべての会員さんにお伝えしたというのは、復帰した後に聞きました。休んでいるのは僕だけだったし、皆さん、僕がコロナになったんだとわかっていましたね。だからこそLINEもいただけたんでしょうけど。ただ、最初はやっぱり怖かったです。隔離中は優しかった同僚たちも本心では『なにやってんだよ!』とあきれていたと思うんですよ。迷惑をかけて本当に申し訳ない気持ちしかありませんでした。

久しぶりに出社すると代表に『コロナに罹ることは誰にでも起こりうることだからしょうがないよ』と言っていただいて。寝不足で体調が万全でない密の場所に飲みに行った軽率な行動については叱られましたけど……本当に戒めと、感謝の気持ちしかありませんよ」

今回の騒動を経て、沢田さんの上司であるジムの代表はこんな感想を得たという。

「人間の健康を扱う仕事をしている以上、僕らも世界各地からコロナに関しての情報を取って感染対策をしてきてはいます。だけど、今回のことで『コロナを完全に防ぐことは不可能だな』と改めて感じました。沢田が罹ったことは問題じゃない。コロナに罹るのは誰でも起こりうることです。たとえ沢田やうちのスタッフに『飲みに行くのを控えろ』と言って、それを全員が守ったとしても、彼らには家庭があり、彼女や友達がいる。その人たちの行動まで規制をかけることはできませんからね。

いま、プロスポーツの業界でも、選手の家族がものすごいストレス下にあると聞きます。たとえばプロ野球選手の奥さんが、ランチ会に出かけてコロナに感染。旦那さんにうつしてチームが活動停止……なんてことになったら取り返しがつかないですよね。選手と同等かそれ以上に家族の方もプレッシャーと戦っています。

今回、保健所からも、相談した専門医や大学教授からも、『罹った人を絶対に責めるな』と口をそろえて言われました。コロナによってストレスフルな環境にいる人たちの精神的なケア、そして今の厳戒態勢をどこまで続けていくべきなのか。もう考えなければいけない時期にきていると思います」

それでも不幸中の幸いだった

誰もがコロナに罹ってもおかしくない時代。今回、運悪く罹患してしまった沢田さんは、それでも不幸中の幸いだったという。

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「そういう意味では僕は幸運でした。正直なところ、僕の場合は症状が軽かったので、体調のことよりも、社会的な反応がすごく怖かったです。隔離中もテレビをつければ連日コロナの特集をやっていて……ちょっと大きく報じすぎなんじゃないかとも思いました。コロナに罹るとむちゃくちゃ不安です。恐怖です。ただ、不安のなか周りの人たちがどうやって接するかが本当に重要なんだと思います。僕も一時は精神的に病んでしまいましたが、周りの人たちの言葉のおかげで助かったと思っています。僕の今回の経験で最も得た教訓です」

新型コロナウイルスは、人と人の距離感を壊す病なんてことも言われている。もしあなたの周りに感染者が出たとき、どんな対応であり、振る舞いができるだろうか。これからのwithコロナ、そして次の時代に向けて、感染予防対策と共に考えていかねばならない問題である。

村瀬 秀信 ライター

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むらせ ひでのぶ / Hidenobu Murase

1975年神奈川県生まれ。茅ケ崎西浜高校卒。全国を放浪後、出版社・編プロ勤務を経て独立。エンターテインメントとプロ野球をテーマに雑誌などへ寄稿。幼少期からの大洋ホエールズ・横浜ベイスターズファン。著書に『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』(双葉社)『プロ野球 最期の言葉』(イーストプレス)『それでも気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』(交通新聞社)等がある。

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