朝7時30分に目が覚める。関節がきしむように痛い。最悪の体調だ。体温は38.5℃。職場に連絡をすると、出勤せずにすぐに病院で検査するよう指示を受ける。電話で予約して9時に近所の医院へ。一般患者とは違う裏口から通される。高熱もあるためインフルエンザ検査を行ったが陰性。「ではPCR検査を受けに保健所へ行って」と慣れたような感じで、紹介状を渡される。13時30分にタクシーで近所の保健所へ。大量の人。PCR検査は右から左へ流されるように手際よく終了。熱さましの薬を貰い、結果が出るまで『絶対に自宅から出ないように』と念を押され、自宅待機が言い渡された。
「熱が出たときは、『このまま黙ってようかな』って一瞬考えてしまいました。やっぱりコロナと判定されるのは怖いですよ。僕の場合はお客さんと密に接する仕事なので不可能ですが、すぐに熱が下がる場合もあるし、黙って仕事に行っている人は結構いるんじゃないかなと思います。
とんでもない数の人たちが検査を受けていた
保健所に行くと、検査を受ける人が30~40人ぐらいいたことがまず驚きでした。検査は距離を取って列を作り、5分ほどで終わるんですけど……とんでもない数の人たちが検査を受けているんだなと(この日の東京都全体の検査者数4389人)。また、同棲していた彼女は朝、元気だったので通常どおり出勤したのですが、昼すぎに調子が悪くなったらしく同じく病院~保健所でPCR検査を受けて帰ってきました。彼女も接客業なので、僕がうつしたのか……と考えると酷く落ち込みましたし、ものすごい不安でしたね」
一方、沢田さんの職場では、朝、沢田さんから連絡を受けてからすぐに対策に動いた。まず保健所に相談したところ、行政の対応がコロナ初期に報道されていた印象とまるで違うことに驚いたという。以下代表の弁。
「沢田から連絡を受けたときは、『これは大変なことになった』と正直、大きなダメージをうけることを覚悟しました。なぜなら今年の春先にフィットネス協会が出したコロナの陽性患者が出たときのガイドラインでは、『ジムは閉めて全館消毒』。『過去2週間ほどの来館者を全員トラッキングする』など、かなりの大事をすることになっていたからです。
ところが保健所に相談してみると、現在は“濃厚接触”の定義が『マスクを外した1m以内で15分以上話をした』ことであり、今回、沢田が接したお客さんは1人も“濃厚接触者”にあたらないというんです。だから、店を閉めなくとも、消毒もしなくていいし、『会員の人にもコロナに罹ったことは告知しないほうがいいでしょう』とアドバイスを受けました。その代わりにしつこく何度も言われたことは、『当人は不安だと思います。皆様で支えて、守ってあげてください』ということでした」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら