フィリピン看護師「自国で働きたくない」全事情

コロナで出国禁止措置も彼女らの望みとはズレ

 フィリピンでは、病院や介護施設で新型コロナウイルスにより数千もの人々が命を落としている国々に赴き、看護の仕事に就くことを願っている医療従事者たちがおり、自らを「囚われの看護師」と呼ぶようになっている。写真は看護師のエイプリル・グローリーさん。メトロマニラの空港で8月撮影(2020年 ロイター/Eloisa Lopez)

[マニラ 16日 ロイター] - フィリピン全土から、人々はズームを介してオンラインで集い、祈りを捧げる。「出国許可を得られますように」という祈りである。

彼らは、病院や介護施設で新型コロナウイルスにより数千もの人々が命を落としている国々に赴き、看護の仕事に就くことを願っているのだ。ここ数カ月、こうした医療従事者たちは自らを「囚われの看護師」と呼ぶようになっている。

フィリピン国内でも感染が拡大しているため、政府は4月、医療労働者の出国を禁止した。国内でのコロナとの戦いに必要とされている、というのが政府の言い分だった。

8月20日にズームを使って2時間にわたり行われた会合は、ある労働組合が主催したもので、国内・海外の双方から200人近い医療労働者が参加した。参加した看護師の多くは、国内で働くことを嫌がっている。給与が不当に低く、評価もされず、保護も不十分だ、と彼らは言う。

政府による奨励策も手伝って、フィリピンは数十年にわたり看護師を他国へと送り出しており、他分野の労働者と合わせ、本国への送金額は年間数十億ドルにも達している。

フィリピンが医療労働者の出国を禁止した結果、米国、湾岸諸国、英国の病院に数十万人のスタッフを送り出していた供給路が圧迫された。こうした諸国では、看護師をコロナ医療の「陰の英雄」と呼ぶ声もある。

深刻な国内医療の人手不足

一方、フィリピンの医療体制は、ただでさえ人手不足だ。国際労働機関のデータによれば、人口1万人あたりの医師・看護師の数は、ドイツが430人、米国が337人、英国は254人である。

これに対しフィリピンは、65人しかいない。フィリピンは東南アジア諸国のなかで新型コロナによる死亡率が最も高い国の1つである。

4月の出国禁止措置により、1000人以上の看護師が出国できなかった。だが先月末、フランシスコ・デュケ保健長官が記者団に語ったところでは、こうした看護師のうち、国内の病院での仕事に就いたのはわずか25人だったという。保健省に最新の数値について問い合わせたが、回答は得られていない。

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