フィリピン看護師「自国で働きたくない」全事情 コロナで出国禁止措置も彼女らの望みとはズレ

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海外では、グローリーさんの勤務シフトは標準的な1日8時間で、集中治療室で一度に1人か2人の看護をするだけでよかった。イエメンに続いてサウジアラビアで働き、家と車を買うことができたという。

最近では、訓練を終えて看護師になる人数よりも、国外に流出する看護師の方が多い状況だ。昨年フィリピンでは、1万2083人の新人看護師が看護学校を卒業した。高等教育委員会、フィリピン海外雇用庁のデータによれば、同じ年、海外での雇用契約にサインした看護師は1万6711人である。海外での契約を更新した人数は別計算だ。今年に入ってから、海外での契約更新は4万6000人に達している。

フィリピン政府では、海外で働くフィリピン人看護師の総数やどの国で働いているかを把握していなかった。

米国では、外国人看護師のうちフィリピン人は最大の多数派だ。ワシントンに本拠を置くシンクタンク、移民政策研究所による連邦政府データの分析によれば、2018年には34万8000人のフィリピン人看護師がいた。今年、パンデミックにもかかわらず、新たに3260人のフィリピン人が米国の看護師資格試験に合格している。

5月に英国下院ライブラリーに提出された報告書によれば、ナショナル・ヘルス・サービス(NHS)において外国人が就労している看護職のうち、15000人以上がフィリピン国籍だった。全体の3分の1近くで、他のどの国よりも多い。NHSは看護師以外の医療従事者として、さらに6600人のフィリピン人を雇用している。

就職斡旋事業者によれば、英米両国の他、ドイツ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、シンガポールでもフィリピン人看護師への需要が高いという。

36時間勤務で患者の世話

フィリピンでパンデミックが始まってから9カ月、国内で報告された感染者は約27万人に膨れあがった。フィリピン看護師連合会のマリステラ・アベノジャー会長によれば、すべての病院が家族の訪問を認めているわけではないため、看護師たちは医療行為だけでなく、患者の食事や入浴まで任せられているという。

アベノジャー会長によれば、交代要員の病欠や無断欠勤のせいで、36時間連続の勤務を強いられる看護師もいるという。また、シフト1回につき個人防護具が1セットしか支給されない場合もある。看護師でも定期的な検査を受けられず、体調が悪化した場合でも、彼らのために病床が確保されているとは限らない。

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