フィリピン看護師「自国で働きたくない」全事情 コロナで出国禁止措置も彼女らの望みとはズレ
36歳の看護師アイリーン・アモンチオさんは、3月、休暇でフィリピンに帰国中にロックダウンと出国禁止措置に巻き込まれたが、英NHSは特別に「新型コロナ休暇」を認め、給与の支払いも続いたと話す。NHSでは、新型コロナのために英国外で動きが取れなくなっているスタッフには、そうした特別休暇が与えられる場合があると話している。
アモンチオさんは6月、政府が出国禁止措置を少し緩和したことで、フィリピンを出ることができた。
英国ではNHS系列の神経科リハビリ病院で働くアモンチオさんは、母国フィリピンの看護師には同情すると話す。以前は彼女もフィリピン国内の小さな病院の外科病棟で、一度に最大80人も担当していたことがある。現在では、担当患者が一度に10人を超えることはない。
アモンチオさんによれば、英国の方が給与水準と労働条件が良いというだけに留まらず、いずれは娘を呼び寄せて、同国のNHSが提供する無料の治療を受けさせたいと言う。娘が必要としているインプラント式補聴器は、フィリピンでは2万ドルもかかるのだ。
「母国にはもう貢献した」とアモンチオさんは言う。「また英雄になりたいとは思わない。自分の子どもの将来を模索しているところだ」
8月のズームによる会合には、シルベストル・ベロ労働長官も参加し、最新の情報を伝えた。「海外ですでに契約を締結している者の一部は、出国を認められる」と長官が発表すると、喝采が湧いた。
政府は国を離れる「私たちを責めないで」
看護師のグローリーさんもその1人だ。彼女は涙を流した。
「政府は、国を離れようとしているからといって私たちを責めないでほしい」と彼女は言う。「別の方法で新型コロナと闘うよう政府を支援していきたいと思っている。貧困から抜け出して、私たちが力を持てば、それは可能だ」
それから数時間後。彼女は空港脇の歩道ですばやく息子を抱きしめると、政府が気を変えないうちにと搭乗ゲートへと足を速めた。
(Karen Lema and Clare Baldwin、翻訳:エァクレーレン)
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