10月の株価は「Octoberサプライズ」になる懸念 トランプ大統領は最高裁判事を指名するのか

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実際にそういう前例がある。1992年に最高裁判事の空席ができたとき、ときの大統領は共和党のブッシュ(父)大統領であった。ところが当時の上院司法委員会のジョー・バイデン委員長(!)は、「新しい判事は選挙後に決めるべき」との論陣を張った。

最高裁判事は上院の承認を得なければならず、このときは民主党が多数であった。そこで最高裁判事に空席ができても、補充は選挙の後にするということになった。そしてその翌年、ブッシュ父を破ったビル・クリントン大統領が誕生し、RBGことギンズバーグ判事を指名した。上院では満票に近い賛同を得て、史上2人目の女性最高裁判事が誕生したのである。

それから幾星霜、オバマ政権最終年の2016年にまたまた空席ができた。共和党のマコーネル院内総務はこの「バイデン・ルール」を持ち出して、「次の最高裁判事は選挙後に決めるべきだ」と言い出した。オバマ大統領が指名したメリク・ガーランド判事は、上院で多数を持つ共和党の妨害によって宙に浮いてしまった。まあ、どうせ次も民主党政権だろうし、とタカをくくっていたところ、あにはからんやトランプ大統領が誕生した。かくして2017年には、保守派のニール・ゴーサッチ判事が誕生したのである。

今回は「別ルール」で大統領選挙前の任命に?

この経緯を思い起こせば、「今回も上院の承認作業は先送りすべきだろう」となりそうなものだ。ところがマコーネル院内総務は、今度は違うロジックを持ち出した。「いや、あれは大統領と上院の多数党が違っているときのルールだ。今はどちらも共和党なのだから、このまま新しい判事を指名して良い」と。

まさしく「理屈は後から貨車で来る」。何しろ共和党にとって、こんなにおいしい話はない。あの穏健派で「反トランプ」のミット・ロムニー上院議員までもが、「大統領選前の承認を支持」と言い出した。上院司法委員会のリンゼー・グラハム委員長も意欲を見せている。「6対3」の最高裁は長年にわたる保守派の夢。とてもではないが逆らえない。

極端な話、もし11月の選挙で民主党がホワイトハウスと上院と下院の多数を全部取った(筆者流に言わせればいわゆる「3連単」)としよう。ところが最高裁判事が「6対3」であったとすれば、彼らの望まない政策はどんどん違憲にできてしまうのである。銃規制、移民問題、選挙制度、ヘルスケア、人種、ジェンダー、人工妊娠中絶といった社会問題は、ことごとくストップ出来てしまうのだ。

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