鈴木茂晴・大和証券グループ本社執行役社長(CEO)--合弁解消のメリットは多い。フリーハンドが増した
--他社との資本提携の可能性はありませんか。
将来的に絶対ないとは言えないが、今は100%ない。財務的に厳しいなら、おカネを集めればいいだけだが、それもまったく意味がない。
--独立系証券は銀行系証券に対して優位に立てますか。
ホールセール業務については、銀行系証券もそこそこやっていけることは証明されている。しかし、リテール業務では、銀行系証券は野村や大和のようにはなれないだろう。かつて銀行系になった証券会社も、いつの間にか力がなくなっている。ことリテールに関しては、野村や大和には「一日の長」以上のものがある。
リスク物の証券を売って損すると、お客さんは怒る。そうした中で、お客さんと向き合ってリスクについてきちんと話をしていける、そういうセールスの強さだろう。銀行の預金はリスクがないに等しいから、ある意味、ただ薦めるだけでいい。セールスのカルチャーが全然違う。
--そうはいっても、銀行のネットワークは魅力的に見えますが。
ネットワークといっても、顧客の個人情報はルール上、商売には使えない。要するに、ネットワークというのは仲介業と何も変わらない。だから、あまり意味がない。
--現状、営業収益で約150億円のアジア・オセアニア部門は2011年度に530億円の目標です。
アジアに関しては以前から強く意識してきたが、銀行との交渉が必要だった。合弁解消で制約がなくなり、早急に決断できた。
これまではアジアの株を日本や欧米の顧客に売るのが主だったが、今回は完璧なフルスペックを考えている。現地で引き受けた証券を現地で売る。要するに、向こうの証券会社になるということ。