規制改革会議が狙う混合診療解禁の無理筋 「選択療養」の提案に厚労省、患者団体などが反発
さらに、有効性・安全性の確認や患者の不利益の有無については、「全国統一的に、中立的な専門家が評価する制度とすべきではないか」とも述べた。
譲歩案の内容に疑問符
このうち、(1)、(2)と全国統一的に中立的な専門家が評価する制度を組み合わせた場合、現在の先進医療とさほど変わらなくなる。他方、要件の一つとされた倫理審査委員会の承認については、不適切な医療行為の歯止めにならないことが製薬会社による臨床研究をめぐる不祥事などを通じて明らかになっている。
4月23日には、再び厚労省幹部を招いて、規制改革会議の会合が開催された。しかし、「困難な病気と闘う患者の希望に応えていくという考え方で厚労省と一致した」(内閣府規制改革推進室の大熊裕二参事官)というものの、「制度創設については考えに開きがある」(同)。医療機関の要件を設けないことを、厚労省は特に問題視している。
ハードルはほかにもある。10年前の全面解禁をめぐる議論の時と異なり、今回は導入を求める患者からの声が乏しい。4月23日の記者会見で岡議長は「私個人にはぜひ実現してくれという声が3人の方からある」としつつも、「会議に意見が届いているとは聞いていない」と語った。
規制改革会議、厚労省双方にとって悩みどころは、安倍首相が4月16日の経済財政諮問会議、産業競争力会議の合同会議で出した“宿題”の解釈だ。「困難な病気と闘う患者さんが未承認の医薬品を迅速に使用できるよう、保険外併用療養費制度の仕組みを大きく変えるための制度改革について、関係大臣で協力して案をまとめてもらいたい」。
首相はこの場で岡議長から説明を聞いた後も、保険外併用療養費制度の大幅な見直しを求める一方、選択療養そのものへの言及は避けた。首相は関係者の顔を立てつつも、心の底では導入は無理だと思っているのかもしれない。
(「週刊東洋経済」2014年5月17日号<12日発売>の「核心リポート06」を転載)
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