ロス日本食店襲ったアジア人ヘイト犯罪の全貌 被害受けたマネジャーが語る一触即発の瞬間

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その数分の間に、男がAさんの存在に気づき、Aさんを凝視した。「あ、目があっちゃったなと思いました」。すると男は突然、「おまえはアジア人か?」と大声で叫び、Aさんの方向に近づいてきた。

ちなみに、男は、Aさんが「Matsui」のマネージャーであることは知らず、警察に電話をかけていたことも知らない。また、このとき、Aさんはサングラスをかけ、マスクをしていたため、男にはAさんの人種が判別できないようだった。

男は「アジア人か?!サングラスをはずせ、目を見せろ!」と大声で叫びながら近づいてきた。「アジア人かと聞かれて『アジア人じゃない』と言うのも抵抗があったんですが、彼を見た瞬間、これはまともに話が通じるような相手じゃないと感じたので、『違う、アジア人じゃない』と答えたんです」とAさんは言う。

男はぶつぶつと何かを叫びながら再度「おまえはアジア人か?」と叫び、接近してきた。約4メートルの距離まで男が近づいてきたとき、Aさんは、男の右手に刃渡り10センチはあるナイフが握られているのに気づいた。
「ものすごく怖かったです。やられると思い、全力疾走で、後ろ向きのまま走って逃げました。『あいつ、ナイフ持ってるぞ!』と叫びながら」

ショッピングセンター内の店の近くまで必死で逃げた。すると、男はそれ以上追いかけてくるのをやめ、別の方向に向かって歩き出した。

Aさんは、保留していた電話を慌てて切り、迷わず911の番号をプッシュした。3~4分ほどで、カーソン保安警察のパトカーが10台到着。警察官に事情を伝えると、付近で捜索が始まり、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)系列の病院付近にいた男が見つかった。

「パトカーの後部座席に座って、少し離れた所から、路上にいる男の姿を確認するように言われました。まるで警察ドラマみたいだな、と思いながら、犯人に間違いない、と伝えたんです」。凶器であるナイフも警察から実物を見せられて確認し、男はその場で逮捕された。

男の罪は?

ロサンゼルス郡検察の記録によると、男の名はアーロン・アンジェリーズ、年齢は36歳だ。アジア人を狙ったヘイトクライムであることは明確なうえ、ナイフを使った傷害未遂のため、罪状は「Felony(重罪)」だ。

犯人は前日の「Matsui」への投石と破壊でも有罪に問われ、さらにメスアンフェタミンの違法薬物を所有していたことで、薬物所持の罪にも問われている。だが、裁判所によれば、この犯人には精神鑑定の必要があり、通常の裁判所ではなく、精神疾患などを抱える容疑者を対象とした「メンタルヘルス裁判所」で裁かれる可能性が大きいという。その鑑定結果によっては、犯人は刑務所ではなく、精神病院に収容される可能性が高い。現在は、地元裁判所の判断待ちだ。

筆者がカーソン保安警察に確認したところ、犯人の人種は「ヒスパニック」で登録されていた。「ただ、人種については、あくまで犯人本人の弁なので、本人がウソをついていたり、ミックスの人種である可能性もある」と警察は言う。

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