ロス日本食店襲ったアジア人ヘイト犯罪の全貌 被害受けたマネジャーが語る一触即発の瞬間
Aさんいわく、犯人はメキシコなどの中米系ではなく、どちらかというと南米系っぽいカーリーヘアの風貌で、背は180センチぐらい、英語はネイティブだったという。前日とまったく同じ服装をしていたことから「多分、ホームレスだと思う」とAさん。
アジア人かどうかを執拗に聞いてきた犯人に対し、もし「イエス」と答えたり、「アジア人で何が悪いんだ」と反撃していたら、さらに危険な状態に陥っていたかもしれない、とAさんは振り返る。「そういう意味では、正直に答える勇気がなくてよかったんだと思います。本当に怖かった」。
トーランス警察から「その場所はうちの管轄ではない。目撃した容疑者の写真を撮っておいて」と電話で伝えられたときは「心が折れそうになった」というAさんだが、気を取り直して、言われたとおり、カーソン警察の番号にかけ直しているところを、犯人に見られる結果となった。
「その時点では、そこまで危ないとは思っていなかったんです。もし石を投げられても届かない距離は取っていました。ただ、車から出て相手を確認してしまったことが、僕の勇み足でした。犯人をちゃんと見ていないと、歩いてどこかに行ってしまうと思い、外に出たんです」
アメリカに12年間住み、日系レストランの現地採用のマネージャーとして働いてきたAさん。もし、自分と同じ状況に置かれたら、おそらく誰でも同じ行動を取ったのではないかと言う。
被害にあった日本食店は今
「僕は経営者でも駐在員でもないのですが、現地採用のスタッフの1人としてそれなりに長く働いてきて、その自分の店が被害を受けたわけです。お金をかけてガラスを直し、コロナ禍で、いったいどこに当たっていいのかわからない中、せっかく犯人らしい人間を目撃したら、警察に連絡し、ちゃんと罰を受けてほしいと思うじゃないですか」
Aさんは、犯人はもしかしたら、コロナ禍でこの数カ月間で失業し、自分がこうなったのは日本人や中国人などアジア人のせいだ、コロナのせいだ、と逆恨みをしたのではないかと推測する。「どこでもいいからアジア系の店舗を狙い、たまたまうちの店がそのターゲットになっちゃったのではないかと。運が悪かったというか」。
店のガラスが破壊された事件と、Aさんの命が狙われた事件は、同一犯による2つの別々の犯罪だが、どちらも「アジア系」への憎悪が根底にあることには変わりない。
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