米最高裁判事死去が大統領選に与える「影響」 選挙戦中に訃報を知った大統領候補2人の反応

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ギンズバーグ判事の訃報に触れた後、トランプ大統領はワシントンに戻る大統領専用機への搭乗前に記者に囲まれて、ギンズバーグ氏について手短に語った。「彼女はすばらしい人生を生きた。そうだろう?すばらしい女性だった。意見の合う合わないは別として、彼女はすばらしい人生を生きたすばらしい女性だった」。

ギンズバーグ判事の訃報が明らかになった際、バイデン氏は同じくミネソタ州を訪れてダルース郊外のハーマンタウンの大工の研修センターで演説を終え、デラウェア州に戻る途中の機内にいた。ニューキャッスル空港に着陸後、バイデン氏は記者に対して、ギンズバーグ氏の死去で生じた空席について、大統領選挙後まで後任を決めるべきではないと語った。

「はっきりと言わせてもらいたい。有権者が大統領を選び、その大統領が判事の候補を指名して上院に諮るという流れにすべきであり、これは疑いのないことだ」とバイデン氏は主張。その後バラク・オバマ前大統領の2期目の最後の年に、共和党員が上院にメリック・ガーランド氏の指名の諮問を受けることを拒否したことに言及した。

「2016年、大統領選挙まで10カ月近くあったのに、共和党が過半数の上院はこのような立場を貫いた」とバイデン氏は指摘した。「ということは、アメリカ上院は今回も同じ立場であるべきだ」。

判事の訃報で事態は大きく動くことに

異例続きの選挙期間となっているが、その中では比較的平穏に終わるはずだったこの日、ギンズバーグ判事の訃報で事態は大きく動くことになった。19日、バイデン氏とトランプ大統領はどちらも、トランプ大統領が4年前の選挙で、僅差で敗れたミネソタ州に出向いた。ミネソタ州での投票所での期日前投票の1日目に合わせて論戦を繰り広げた形だ。

ベミジー空港での集会に集まったトランプ大統領の支持者のほとんどはマスクを着用しておらず、トランプ大統領はそれを「バカげたことに対する抗議」と呼んだ。また、「イスラム教原理主義のテロリストたち」が大勢ミネソタへの侵入を企んでいると主張し、自身を、それを阻止しているバリアの1つとして演出した。

「私が皆さんの壁になっている」とトランプ大統領は訴えた。「アメリカンドリームを混沌から守る壁だ」。

トランプ大統領は、長らく逆転を目指してきたミネソタ州で、彼らしくさまざまな話題に及ぶパフォーマンスを披露した。19日の夜、ミネソタ州北部の小さな街の外れで、トランプ大統領はミネソタ州を分断する都市部と地方の二極化現象を自身の選挙に有利な材料にしようと、自身が負ければ都市部には移民が大勢流れ込むと恐怖を掻き立てた。またトランプ大統領は、民主党はミネアポリスの警察部隊の廃止を目指していたと主張したが、これは事実に反する。

トランプ大統領はさらに、大統領選挙に出馬さえしていない女性に対して、性差別的な攻撃を繰り返した。

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