褒められ慣れてない部下に自信を持たせる方法 その人ごとに合った指導法を見極めるのが大切

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またそのような事態が原因となり、自信をもつことができずに、自己評価があまりに低すぎて、「自分なんかほめられるはずがない」と思い込んでいるのかもしれません。いずれにしても、こうしたタイプはほめ方を間違えると、かえって心を閉ざしてしまいますから、慎重に対応しましょう。

マナーの神髄は相手の立場にたつこと。その部下がほめられることを好むのか嫌うのか、上司として正しく見極める能力も必要です。その部下がどちらのタイプなのかは、何気ない場面から見えてきます。

たとえば、一緒にランチを食べる機会や、社内のオンラインミーティングで、場を和ますスモールトークの一環として、次のようにたずねてみてはいかがでしょうか。「俺は小さい頃からほめられることがなかったから、ほめられると何だか恥ずかしくて、苦手だったんだよな」それに対する部下の反応で、どちらのタイプかが見えてきます。 さらに 「 ●●さんはどう?ほめられるとうれしい?」などと踏み込んでもいいでしょう。 部下の人となりがわかるだけでなく、心の距離を詰めるきっかけにもなります。

先にほめることも大切

部下をほめることに慣れてきたら、逆パターンにチャレンジしましょう。先に部下をほめてから、感謝の言葉を告げるのです。順番を変えると感謝の言葉に、より一層の説得力が生まれます。何に感謝したのか、理由が明確になるからです。

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指示した仕事を行うことは、社会人としては当然の行為。だからといって、「やって当たり前」と突き放していたら、今の若い人たちは付いてきてくれません。ここは社会人の先輩として、 何事にも感謝するという、人としての器の大きさと深さを示してまいりましょう。

ほめる場面が多いほど、部下はやる気を出してくれます。些細なことでもほめるチャンスを見つけたら、 積極的にほめてあげましょう。

指示した仕事を終えたらほめて、集中して仕事をしていたらほめてあげるのです。そのためには仕事の進捗状況を、常に把握しておく必要があります。部下が何をしているかわかっていれば、ほめるポイントも見つけやすいですからね。指示した仕事の途中経過を確認することで、「もうここまでできたのか!すごい!」と、完了前にほめるチャンスもつくれるのです。

西出 ひろ子 マナーコンサルタント・ビジネスデザイナー・美道家

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にしで ひろこ / Hiroko Nishide

ヒロコマナーグループ代表。ウイズ株式会社代表取締役会長。HIROKO ROSE株式会社代表取締役社長。一般社団法人マナー教育推進協会代表理事。大妻女子大学卒業後、参議院議員等の秘書職を経てマナー講師として独立。1998年、英国オックスフォードに渡り、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者(当時)と現地にて起業。帰国後、名だたる企業300社以上のコンサルティング、延べ10万人以上の人材育成をおこなう。著書・監修書に『さりげないのに品がある気くばり美人のきほん』(かんき出版)など、国内外で95冊以上。著者累計100万部を超える。
ヒロコマナーグループ公式サイト http://www.hirokomanner-group.com

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