ソフトバンクG、資産売却の加速が呼ぶMBO観測 巨額買収の英アームとはわずか4年で“お別れ"
一連の資産売却を経て、SBGが保有する資産は、最大の資産である中国アリババ集団(2020年8月時点の株主価値は15.6兆円)、国内通信子会社のソフトバンク(株式売却後は保有割合が62.1%から40.4%へ低下する予定)、海外の未上場株に投資するソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)、そして、アーム売却で手に入るエヌビディアの株式となる。今後焦点となるのは、アリババ株の扱いだ。米中摩擦などから株価の下落リスクが高まるという見方も市場関係者の間にはある。
そして、相次ぐ巨額の資産売却を受けて、市場で広がっているのが、MBO(経営陣による買収)による非上場化の観測だ。SMBC日興証券の菊池悟アナリストは9月9日付のリポートで、「アーム株売却が当初計画より前倒しで検討されるなど、資産売却を急ぐ印象であることや、(今年3月以降の)自社株買いが大規模であることから、MBOによる上場廃止も選択肢にある」との見方を示した。
非上場化は「選択肢として当然ある」
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)も9月14日、「SBGの経営陣は戦略を再構築するため非上場化する議論を再び始めた」と報じた。SBGのMBO検討については、過去にもFTが報じている。FTはMBO検討の背景として、1株当たり株主価値(保有株式価値から純有利子負債を差し引き、発行済み株数で割ったもの)に対して株価が割安なため、会社が不満を持っていることを挙げている。
実際、今年2月の決算会見で孫氏はその点に触れている。大画面のスライドにSBGの1株当たり株主価値と株価の推移を示し、株価のほうが52%安いと訴え「要は実力以下にしか株価はまだ(市場から)評価されていない」(孫氏)と述べていた。
このときの質疑応答で、上場を続ける意義を問われ、資金調達や経営に透明性を保つなどの観点から一定の上場メリットはあるとしつつ、「(非上場化は)選択肢として当然ある。一時、株式を非公開化して、自分個人の会社にしてしまおうかと真剣に思ったこともある」(孫氏)とも語っている。
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