菅政権の「勘違い」が地銀を殺しかねない理由 銀行が抱える問題は「多すぎる」ことではない

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こうした中、地銀がどうやって利益を出しているのかというと、不動産担保融資や投資など、あらゆる種類のリスク資産に頼るようになったのである。これは不動産価格が上がっている時にはいいが、コロナが不動産価格に打撃を与えるかもしれないという懸念がある。実際、2020年4月、都市部の地価下落地点が地価上昇地点を8年ぶりに上回った。調査対象となった100地点のうち38地点で地価が下落し、上昇したのは1つのみだったのだ。

また地銀の多くは、国内および海外両方のリスク証券にも頼ってきた。メガバンクのようなスキルや経験がないにもかかわらず、だ。

不慣れな投資事業に手を染めた

さらに、国内では投資していた企業株式の売却を繰り返し行った。2018年度には売却額が経常利益のなんと30%も占めるようになり、2010年度のわずか4%から大幅に増加した。問題は、これが持続可能な利益源ではないということだ。

一方、国外ではアメリカの債務担保証券(CLO)に押し寄せた。こうした「デリバティブ(金融派生商品)」は、企業債務を裏付けとした有価証券である。銀行はAAAに格付けされたCLOに取り扱いを限定してきたが、2008年の世界金融崩壊直前にも多くの住宅ローン債券ベースのデリバティブがAAAの格付けを持っていた。

2019年10月の金融システムレポートで日銀は、日本は世界全体のCLO市場の15%を占めていると指摘し、次のように警告した。「日本の金融システムが……海外金融循環の影響を受けやすくなっている……レバレッジドローンの借り手は景気悪化に脆弱であるほか、近年、貸付条件の引き緩みが続いており、CLOについても、経済・市場急変時の格付け低下、市場価格下落等のリスクに留意が必要である」。メガバンクはこの分野の経験があるのに対し、地方銀行にはそれがない。

実際に福島銀行と島根銀行がこうした投資で行き詰まった結果、SBIホールディングの緊急援助と事実上の買収を受け入れざるを得なくなった。

こうしたさまざまな「活動」により、大部分の地銀は利益を捻出することができているが、これからは薄氷の上でスケートをしながらコロナ時代に突入する。全銀行における総資産利益率は1980年代初頭の約2%から、2020年初頭(最初数カ月)にはわずか0.04%へと大幅に下がっている。しかし、最も脆弱なのは地銀である。

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