日本経済新聞社から出資を受け入れた理由
そんなイベレジだが、2014年4月には日本経済新聞社から1.65億円の出資を受け入れた。日本経済新聞社のスタートアップに対する出資は、筆者が聞く範囲では初耳だ。その意図はどのようなところにあるのか。
「日本経済新聞社ではグループ会社を含めると相当数のビジネスイベントを主催しています。同社と資本・業務提携を結ぶことで、より密なお付き合いの中で日経のイベントの悩みを解決していきたい。そこで得たノウハウはほかの企業にも応用でき、サービスの発展に役立つと考えました」
日本経済新聞社は日経新聞のイメージが一般的には強いだろうが、ビジネスイベントも相当数手掛けている。その辺での事業シナジーを主に見込んだということだ。
「他にもサービス連携を視野に入れています。イベレジに日経IDでログインできると利便性が上がります。また、当社はアジア展開も視野に入れており、日経も同様にアジア展開を意識していることから、ベクトルが合うなと感じました」
イベントレジストではすでにインドネシアとシンガポール、台湾に拠点を置き、事業展開を開始している。シンガポールは国土の狭さにもかかわらず、ビジネスイベントの開催数は世界一を誇る。ほかにもアジアではタイが国際医学学会の開催数が多い。このようなビジネスイベントの開催が多いアジア各国での展開をもくろむ。冒頭で触れたEventbriteに関してはアジアではオーストラリアに拠点を置き、まずは英語圏を中心に事業展開するのではないかとヒラヤマ氏は予測している。
手数料以外でどう稼ぐか
最後に収益モデルに触れよう。チケット販売手数料をベースにしつつも、個別カスタマイズのシステム使用料でも課金する。カスタマイズによるシステム使用料は数万円から数十万円と、幅広く対応可能だ。
「チケット販売手数料は、今後、各社の競争もあり下がっていくと考えているので、ここを中心とした収益は楽観的に考えてはいません。手数料以外の付加価値が重要になります」
個別カスタマイズ以外の付加価値とは何か。まずはイベント開催数や来場客数の増加による販売手数料と、システム使用料が主な収益ポイントだ。ここを伸ばしつつ、イベント周辺領域でのマネタイズをヒラヤマ氏はこう考えている。
「イベント主催者の悩みを解決するプラットフォームを志向しています。たとえば、イベントの協賛を見つけてきたり、会場を手配する。このようなオペレーションがイベント主催者の大きな負担になっています。そこでわれわれがイベントの協賛企業を見つけてきて、代理店のような形でその手数料をいただく。そういった収益化も可能と見ています」
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