突如「平和外交」に舵を切ったトランプの思惑 ノーベル賞候補に推薦されて大喜びしているが

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トランプ氏の外交では、あからさまな対決姿勢も目立つ。米中対立は専門家らが軍事衝突の勃発を懸念するレベルにまで高まり、イランに対する「最大限の圧力」作戦は実際に互いの報復合戦に発展、突如として大衝突に火が付きかねない状況になっている。

トランプ氏がノーベル賞受賞の決め手になると考えていた北朝鮮の非核化交渉も何カ月も前に頓挫した。

だが、トランプ支持者はそんな細かいことは気にしない。トランプ氏は「世界に平和をもたらした」。マケナニー報道官は最近、FOXニュースでこうぶち上げた。共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長も、トランプ氏はノーベル賞を受賞すべきというマケナニー氏の主張に賛同し、こんなツイートを行った。「オバマ前大統領が平和のために8年間かけて成し遂げた以上のことを(トランプ氏は)先月1カ月間で成し遂げた」

「ノーベル賞が欲しい」と言うこと自体、ゲスの極み

トランプ陣営でこうした言葉が飛び交っていること自体が、すでに常軌を逸している。そもそもノーベル賞の候補者となるような人は、自らの業績をいくら褒めたたえられたとしても謙遜して受け流すのが通例となっている。

例えば、ノーベル賞委員会の事務局長を務めていた人物が2015年に出版した回顧録によると、大統領就任1年目にしてノーベル平和賞の受賞を知らされたオバマ氏は、決まり悪そうな様子で自分には賞を受け取る資格はないと明言し、同氏の側近は授賞式欠席の可能性すら探ったという。

これとは対照的に、トランプ氏はノーベル賞受賞者になりたいという願望を隠そうともしない。同氏は2019年2月、日本の安倍晋三首相からノーベル賞候補に推薦された、と自ら記者たちに自慢した。推薦理由は北朝鮮外交の成果だった。「同じように感じている人は、ほかにもたくさんいる」と、トランプ氏は言った。

「たぶん賞はもらえないだろう。でも、それはそれでかまわない」と、トランプ氏は続けた。

しかし、受賞の可能性に関心がないとは、とても思えない。11日夜、トランプ政権で駐アイルランドアメリカ大使を務めるジェフリー・ロス・ガンター氏が、トランプ氏の新しく成し遂げた「中東における和平合意」を称賛するツイートをさっそく行っている。同ツイートには、ノーベル賞が「これほどふさわしい人物はいない」と書かれていた。

トランプ氏はすぐさま、このメッセージをリツイートした。

(執筆:Michael Crowley記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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