前例がない問題でも答えを導き出せる「図頭」力 「AIに負けない本物の思考」の身に付け方

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「VUCAの時代」ともいわれる現代。「図を書いて考える」ことで一段深い思考が可能になるそうですが、その思考の意味とコツを解説します(写真: mits/PIXTA)
現代は「VUCAの時代」ともいわれる。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたビジネス用語で、環境変化が激しく将来の予測が非常に困難であることを意味する。こうした時代には過去の成功事例に頼るのは危険で、白紙の状態から最適解を導き出す思考力が必要とされる。
そのためには、いわゆる「地頭」力を鍛えることも重要だが、より即効性を求めるなら別のアプローチもある。それは「図頭(ずあたま)」を使うことだ。と言っても、何も難しいことではない。「図を描いて考える」。たったそれだけで一段深い思考が可能になるのだ。
外資系の事業会社やコンサルティングファームを経て、いまはビジネススクールで教鞭をとり、『武器としての図で考える習慣:「抽象化思考」のレッスン』を上梓した平井孝志氏が、「図頭」を使って考えることの意味と、そのコツを解説する。

「高学歴」≠「本物の考える力」

私が就職した頃と違って、格段に情報があふれる世の中になりました。経営学の世界でも、さまざまな理論や事例の本がすぐ手に入ります。

『武器としての図で考える習慣:「抽象化思考」のレッスン』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

こんな世の中だからこそ、うわべだけのスキルではなく「本物の考える力」「深く考える力」を身に付けるべきです。そして、その1つの手段が「図を描いて考えること」であるというのが本稿の主張です。

「図を描いて考える」力、すなわち「図頭」力は、与えられた問題を解く力、受験を突破する力とは異なります。受験における論理は、与えられた問題に対して、既にある解答を頭にインプットし、記憶し、アウトプットすることです(極端にいえば)。これは本稿でいうところの「本物の考える力」ではありません。

ここで伝えたい「考える」は、前例のない問題に対峙したとしても、真っ白な紙のうえに、自分の頭で発想し、ものごとを理解していくことです。解くべきお題を与えられ、答えへの道筋が既にわかっていることを試されるのとはまったく訳が違います。

真っ白な紙のうえからスタートするのですから、何を考えるべきかも含めて考えなければなりません。これは、「本当の問題は何か」を考える問題設定の課題であり、100%正解のない問題に対して答えを出していくということでもあります。こんな能力はなかなか受験勉強では鍛えられません。

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