「年収1000万超え」タクシードライバーの仕事術

流転タクシー第6回、稼げる人には"ワケ"がある

この顧客を持つという方法は、業界の中では昔から実践されてきた方法でもある。だが、実際に顧客たちを回すことができるドライバーはほとんどいない。

ドライバーを個人指名するということは、24時間いつ連絡がくるかわからない予約にすべて対応する必要があるからだ。物理的に顧客を持ち、回し続けるということは非常に困難であるともいえる。

「今は15人くらいかな、仕事を手伝ってくれるコミュニティがあり、さばききれない仕事を仲間にお願いしている。お客さんからすると、一度仕事を断ると次は呼んでくれないので。連絡も四六時中くるので、いかに効率よくお客さんを回すか、ということに最大限の注意を払っています。

こんなご時世でも、いいお客さんはいるんです。例えば千葉や埼玉から慶応病院に行きたいという方。箱根や鎌倉から銀座や麻布への送迎だったり、ゴルフ旅行の貸し切りというような。みなさん2万~4万円くらい使ってくださり、中には足代をいただける方もいます。そういう方々と10年近くお付き合いさせていただいた。だからその信頼を裏切らないためにも、できるかぎりの準備はしてきたつもりです」

吉田さんは顧客満足のために、十分な設備投資も惜しまなかった。これまで乗り継いだ車種はクラウンのセダンに始まり、クラウンのマジェスタ、セルシオ、レクサス。そして、現在のアルファードに至る。

高級ハイアーさながらの車中ではWi-Fiの接続も可能で、USBの利用もできる。座り心地のよいシートは別注で、空気清浄機まで完備されていた。とくにアルファードに替えてから、車中がより快適になったという声も多いという。

結局、トヨタの車がいちばん走るし最高だよ、と吉田さんは笑う。

ドライバーになった1970年代と比較すると、利用者は絶対的に減っていて、単価も大幅に落ちた。そんな中でいかに単価を下げずに、効率性を上げるかを考え抜いて、現在の営業スタイルにたどり着いた。

優良顧客を増やすテクニック

では、肝心の顧客はどうやって増やしていったのか。海外客に関しては現在、LINEとFAXで予約を受け付けており、国内客は紹介の輪でつながっていったという。

「2015年ごろからインバウンドの顧客を取り込みたいと考え、意図的に羽田空港につけるようにしたんです。その中で、海外のある世界的ワイン企業の社長が偶然乗車して、連絡先を聞かれました。そこからビジネス関係の出張客がFAXで予約を入れてくれるようになりましたね。

海外の方は大きな車を好む傾向が強いから、重宝される面もあるのでしょう。今思うとラッキーでしたが、最近では海外の旅行会社から直接、乗車依頼が来る機会も増えました。

国内は、一部上場企業の部長さんとかが最もよく利用してくれる層です。役員となると送迎がつくので、そうではない部長クラスの人が接待後などに利用して、またその部下たちや取引先が利用してくれるようになっていきましたね。そうして、どんどん顧客は広がっていった。だから、バブルが弾けたあとも、東日本大震災のあとも、売り上げは落ち込まずに、あくせくはしなかったです。

車中で気をつけていることは、会話の“間”を大事にすることです。聞かれたら話すけど、基本的に自分からうるさく話しかけたりはしない。偉い人を相手にして、ドライバーがでしゃばりすぎるのはよくない、というのは経験上学んだことですね」

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