音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル、頼みの携帯配信も頭打ち、「神風」を待つ音楽業界【上】
レコード店7割減でも不変のビジネスモデル
さらに配信への移行がある。シングルのミリオンセラーは07年以降、ゼロとなった。これが示すのは、シングルのかなりの部分が配信に置き換わった事実だ。配信料金はシングル盤価格の約3割なので、単なる置き換えだと売り上げは6割減る。
CD減少、配信拡大の影響をモロに受けているのが、現物販売がすべてのレコード専門店だ。旧外資系を除く専門店の約半分が加盟する日本レコード商業組合の加盟店数は、ピークの92年約3200店から09年約820店へ、なんと74%も減った。
専門店チェーンの勢力図も激変している。かつてのトップ、新星堂はHMVも保有する大和証券系ファンド傘下で再建中だが、今期3~11月期決算で債務超過寸前。すみやはTSUTAYAを展開するCCCが完全子会社化して上場廃止。そのCCCもCD販売不振から10年3月期予想を大幅に下方修正している。元気がいいのはMBOで米国本社から独立した、豊富な在庫と専門性が武器のタワーレコードぐらいだ。
レコード会社はまだましだ。音源という資産を持っているし、配信の売り上げが立つからだ。だがそれでは満足できない。シングルで複数ヒットを出し、高額のアルバムを買ってもらうのが、この業界のビジネスモデル。単価の安い配信では制作費、販促費をカバーできず、アルバムで投下費用を回収するという構造は今も変わらない。やはり、最後はCDが売れないと困るのだ。
各社も手を打ってはいる。=(下)に続く
(筒井幹雄、中島順一郎 撮影:大澤誠 =週刊東洋経済)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら