音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル、頼みの携帯配信も頭打ち、「神風」を待つ音楽業界【上】

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それは「J−POPが若者のアイデンティティと一体化して社会現象になり、メガヒットが生まれた」(木哲実・タワーレコード社長)時代。99年、『First Love』(宇多田ヒカル)の700万枚セールスはその象徴だった。

あれから10年、「大衆化を経て聴き手が成熟化し、楽しみ方も多様になっている。メガヒットは出にくくなった」と木社長は話す。

99年ごろからバブルは急速に剥げていく。CDに限れば一直線の右肩下がりをたどったが、「着うたフル」などの有料配信も足せば、4600億円程度の横ばいが続いてきた。

が、2009年には配信もついに頭打ち、全体で1割程度は落ちそうだ。踊り場をさらに一段下りた感じである。

小池一彦・ユニバーサルミュージック合同会社CEOが話す。「海外の同業者に『2ケタ減になると加速度的に下がるぞ』と言われた」。まさに減少率は2ケタで、08年11%減、09年15%減と悪化している。

売れなくなった背景は三つある。一つ目は、賞味期限が短くなったこと。ちょっとヒットが出ると、一斉に寄ってたかって研究し2匹目のどじょうを狙う。当然聴き手は飽きる。

もう一つは、需要構造の変化だ。

多くの若年にとって、音楽は所有するものというより、消費する商品の一つになった。データであれば、聴かなくなったら消去する。

「08年度音楽メディアユーザー実態調査」(日本レコード協会)によると、学生などの若年層は、音楽の入手コスト、支払いコスト、保存コストのうち一つでも許容できなければCDを買わず、配信、レンタルを利用するという。魅力ある楽曲しか高いハードルはクリアできない。

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