筆者は40年以上、ウインタースポーツとしてスキーを楽しんでいるが、夏場のスキー場へ足を踏み入れたのは初の経験。管理道路こそ整備がなされているものの、ゲレンデとおぼしき斜面には大人の背丈ほどの草が生い茂り、ところにより岩場も顔を出す。わかりやすく険しい自然環境。そしてなによりゲレンデなので、30度以上の急斜面もざらにある。しかも前日まで降り続いていた雨の影響もあり、草はひときわ滑りやすい。
試乗したのは前述の5モデルのうち、レネゲード、ラングラー3モデル、チェロキー、グランドチェロキーの計6台。まずは末っ子のレネゲード「トレイルホーク」(直列4気筒1.3リッターターボ、179PS/27.5kgf・m、9速AT)に試乗する。
全長4255㎜×全幅1805㎜×全高1725㎜とSUVカテゴリーでは小柄な部類に入るため小回りが利き、見切りのよくない悪路でも走らせやすい。一方で、運転席に座った際の視線は十分に高く、ボディサイズにとらわれない安心感がある。
肝心のオフロード性能も十分で、4輪のブレーキを独立させて自動制御することで、1~8㎞/hの任意速度で斜面を下ることができる「ヒルディセントコントロール」や、歩くような速度にも対応するギア比(20:1クロールレシオ)によって、滑りやすく険しいコースを難なく進む。
日本で1番人気の「ラングラー」の実力は?
続いてラングラー。同モデルは2019年の日本における販売台数のうち4873台(36%超)を占める、現ジープの基幹車種。試乗した3ドアと5ドアの「ルビコン」は、ともにV型6気筒3.6リッター(284PS/35.4kgf・m)+8速ATを、5ドアの「サハラ」は直列4気筒2.0リッターターボ(272PS/40.8kgf・m)+8速ATを、それぞれ搭載する。
圧倒的な悪路での走破性能を見せたのは3ドアのルビコン。残念ながらこのモデルは全国限定100台ですでに完売したが、人気の高さはやはりその走りにあり。5ドアのルビコン同様の駆動方式と、ラダーフレーム+前後コイル式リジッドサスペンションに加えて、全長は4320㎜と末っ子であるレネゲード並みの短さなので、上り斜面/下り斜面を問わず走りやすい。
20度以上の連続する下り急斜面では副変速機を「4L」にシフト。これでロックトラックフルタイム4×4システムによるクロールレシオは79.2:1に固定される。この値は、比率が大きくなるほど登坂性能に優れることを意味していて、下り坂では強力なエンジンブレーキが利き安定したダウンヒル走行が可能に。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら