「1600種の貝殻集めに半生捧げた男」の驚き人生 情熱かけたコレクションは作者の死後も心打つ

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「言われてみれば『なるほど!』ですよね。叔父さんが延々と砂浜を歩いて宝探しのように貝殻を拾い集めていると思っていたので、この話を聞いて『だから叔父さんの貝の標本は、宝石のように美しく、形もきれいなんだ!』と、納得したのを覚えています」(原田義壽さん)

美しい標本の背景には、漁師と交渉したり、試行錯誤して貝の肉を取り除いたりと、数々の奮闘をしてきた古川さんがいる。

変わりゆく海

貝殻を送り出してくれる美しい海、その海への思いを古川さんはこんなふうに書き残している。

“いつまでも豊かな美しい海であってほしいと願う一人です。海が死ぬということは、人間を含めた生物の死滅を意味します。海を汚す元凶は、私たち人間ですから……。”
―『月刊シルバー・エイジ』よりー

近年、地球温暖化に伴う海の酸性化が問題になっている。酸性化した海では、貝殻の生育が以前より悪くなる研究結果が報告されている。さらに、日本の自然海岸線は工業用地にするための埋め立てや護岸などで昔と風景を変え、貝の生息域が狭くなった。それは人々の生活に便利や豊かさをもたらしてくれた一方で、海の生態系への影響は免れなかった。海の環境はどんどん変わっていく。

古川さんが愛した貝殻は、もしかしたら30年、50年、100年後には今のように出会えなくなる種類もあるのかもしれない。美しい貝殻は私たちにいろんなことをささやきかけている。

“貝の生きる姿を通して、生物が自然の中で生きていくことのきびしさ、環境へのたくみな適応のしかたなどを学び、生物もわれわれと同じ地球のなかまであるという認識をより深めていただけたらと思います。”
―『貝のふしぎ』よりー

 

横田 ちえ ライター

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よこた ちえ / Chie Yokota

鹿児島在住。WEB・雑誌での執筆のほか、企業のオウンドメディア運営やパンフレット製作など幅広く活動。日ごろから九州を中心に全国あちこちを巡り、取材テーマを模索している。最近特に力を入れているテーマは離島や温泉。

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