新日鉄がインドに本格進出、アジア王者にこだわるか
7年ぶりの赤字。1月28日に発表された新日本製鉄の今年度業績は、建材向け製品の価格下落等で、2002年度以来となる最終赤字に陥る見通しとなった。
粗鋼生産量で見れば、再編に次ぐ再編で世界最大手となったアルセロール・ミタルとの差はついたものの、依然アジア王者として君臨してきた新日鉄。08年の生産量は3750万トンで、3540万トンを生産した中国最大
手の宝鋼集団をかわし2位を守った。
ただ、09年は新日鉄が大幅減産を余儀なくされた一方、宝鋼集団は堅調な国内需要もあり順位が逆転したもよう。河北鋼鉄も合併で生産量を伸ばしているほか、韓国のポスコも底堅く、横並びの様相。GDPで中国に抜かれそうな日本だが、鉄鋼でも同様の事態が起きている。
そうした中、焦点となっていたのが中期経営計画だ。あくまで規模を追ってコスト抑制を図るのか、規模より技術力で勝負するのか。その指針となるのが数値目標である。三村明夫前社長時代に掲げた粗鋼生産能力「4000万トン+α」という方針を取り下げ、王者の座を自ら降りるのではとの憶測も飛び交っていた。
規模拡大への意気込み
結局、同日発表された11年度の中期計画では、具体的な数値目標は避けられた。目新しい点としては、原料の安定調達への意気込みを示したこと。ただ、長期的には規模拡大へのこだわりも示した。
「中期計画後を想定すれば、しかるべき時期に成長路線にギアチェンジし、日本国内の4000万トン体制を主体としつつ、世界の三極で製造体制を順次整備し、5000万~6000万トンの供給能力を目指したい」(宗岡正二社長)。世界の三極とは、日本、ブラジルを中心とする米州、そしてアジアのこと。