半沢直樹に学ぶ「やってはいけない7つの教訓」 「出世をする人の声の出し方」はやっぱり違う

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その5.人事を神聖視するな

シーズン1も含めて『半沢直樹』全体を通じて言えることだが、銀行の「人事」に対する直接的な批判や軽蔑が劇中で語られることがない。人事は半ば神聖視されている。確かに、銀行員にとって人事は大切だ。「銀行員」を表現するにあたって、「人事が人生の(ほとんど)全てを占める人」として描くのは分かりやすい。地上の生き物のうちで、とりわけ犬と銀行員は序列に敏感だ。

 しかし、多くの会社にあって経営上の間違いの多くが人事によって起こる。現実のビジネスパーソンは会社の人事を神聖視すべきでないし、現実に神聖なものだとは思っていない人が多いだろうが、社員が会社の人事を効果的に批判するのはなかなか難しい。

 おそらくは、多くの会社員にとって、会社の人事を批判して効果をあげようとするよりは、さっさと転職してしまうのが人事に不満を持った場合の最も効率的な対応策だ。人生の時間は有限だし、世の中に会社や働く機会はたくさんあるからだ。

 もっとも、ドラマの今後には、半沢が、腐りきった銀行人事のシステムを解体的に見直すことを期待してみたい。人事の解体こそが、銀行の革命である。

「会社との付き合い方」を考える

その6.尊敬と信用を分離すべし

ドラマは、「この銀行の人事はまともではないのではないか」というビジネスパーソン視聴者なら当然持つべき疑問を、北大路欣也さんの貫禄と演技力で封じている。本来なら半沢は、「銀行を腐らせているのは、頭取、あなただぁ!」と怒鳴り上げるべきところなのだが、どうやら彼は中野渡頭取を尊敬している様子だ。現実の世界を考えるとして、「尊敬できる人」、「魅力的な人」と「信用できる人」は別なのだと考えることが有効だ。

一般に、他人の長所を見つけて、尊敬し、これに学ぶことは悪いことではない。ただし、その人が「信用していい人」なのかは、そもそも別問題だと考えておくべきだし、状況によっても変化する。これは、政治家のような「人種」にだけ当てはまるような話ではなく、もっと広い一般論だ。

読者は、誰か立派だと思う他人(先輩など)を思い浮かべて見て欲しい。そして、「私は〇〇さんを尊敬するが、信用はしていない」と呟いてみて、尊敬する人物をどのような状況でなら信用できないのか、条件を想像してみよう。世界の見え方が、少しだけ広くなるはずだ。

その7.躊躇なく会社を飛び出せ

半沢直樹が現実の銀行員であるとした場合、ビジネスパーソンとしての彼の最大の選択ミスは、銀行に残り続けていることだろう。彼のような頭脳と人望と行動力の持ち主が、今の銀行のような組織に残っていることは大変もったいない。

もちろん他の会社に転職してもいいのだが、例えば、何らかの形で独立する方が、銀行員として動くよりも「顧客第一」に徹することができようし、銀行にとっても人件費の削減につながるので、悪い話ではない。

今や、能力のある銀行員にとっては、銀行を離れてあげることも「銀行愛」の1つの表現として成立する時代だ。一般のビジネスパーソンも、1年に数回くらいは、「現在の職場を離れると自分はもっと良い仕事ができるのではないか」と考えてみるべきだ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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