レナウン解体「名門ブランド」の悲しき末路 ダーバンなど5ブランド切り売りで会社は清算へ

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とりわけ複数の業界関係者が注視するのは、百貨店向けブランドをどう舵取りするかだ。

今回レナウンが譲渡する5ブランドのうち、ダーバン・アクアスキュータム・シンプルライフの3つは百貨店が主要販路。小泉グループはGMS(総合スーパー)向けを中心とした比較的カジュアルな衣料品に強い。他方、グループ傘下で主に百貨店向けの事業を展開するオッジ・インターナショナルの2019年度の年商は27億円に過ぎず、ダーバンやアクアスキュータムのような大きいブランドは持っていない。

この夏、ダーバンなどではキャッシュを確保するため、大部分の商品を大幅値引きして処分している。それだけに、ブランドイメージの回復には相応の時間が掛かるだろう。

百貨店ビジネスのノウハウはあるか

さらに「消化仕入れ」(商品の売り上げと同時に仕入れを計上する仕組み。在庫リスクはメーカー側が持つ)のように特殊な商慣習が残る百貨店で、採算をきちんと確保しながら事業運営を行うには、売り場作りや取引条件の設定に当たり百貨店側との交渉力が求められる。アパレル業界関係者の間では「レナウンから一部の社員を引き取るにしても、百貨店ブランドを再生させ、事業を収益化できるだけの十分なノウハウがあるのか」と疑問視する声も上がる。

長年のアパレル不況に新型コロナ禍が加わり、足元ではアパレル企業の決算は軒並み赤字に陥っている。ダーバンを筆頭に命拾いしたブランドも、再生には険しい道のりが待ち受ける。

あるアパレルの幹部は「これだけ消費環境の行方が見通せない今、アパレル会社やブランドの買収はほとんどリスクと隣り合わせだ」と漏らす。名門企業の解体は、先行きに不透明感が増すアパレル業界の苦悩の深さを物語っている。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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