レナウン解体「名門ブランド」の悲しき末路 ダーバンなど5ブランド切り売りで会社は清算へ

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主要販路の百貨店の凋落とともに顧客の減少に歯止めをかけられず、赤字が常態化していたレナウン。新型コロナ禍というタイミングの問題もあったが、かつての名門企業に買い手がつかなかった理由の1つは販管費の高さだった。

「とにかくコストが高すぎる」。レナウン関係者によると、複数のスポンサー候補は交渉に当たり、会社を丸ごと買うことに対しこう難色を示したという。

とくにネックとなったのが人件費だ。2019年末時点でのレナウン単体の社員数は539人。約10年前から1割強減ったものの、この間に中高年以上の社員の割合は増え、一方で売り上げは減少の一途をたどった。レナウンの元幹部は「(2006年の)ダーバンとの合併で管理部門などの社員が増え、以降も人材配置の効率化がさほど進まなかった。事業規模の縮小と並行して、より踏み込んだ人員の削減が必要だった」と反省する。

ビジネスモデルの見直しに至らなかった

長年の経営不振により優秀な人材の流出も激しく、会社の再生に向けた戦略を練ることができる社員はほとんど残っていなかった。

アパレル業界に詳しいオチマーケティングオフィスの生地雅之代表は「レナウンの最大の問題は、社内で人材育成が十分できなかったこと。ブランド価値を上げるような商品の作り方や売り方ができる人材がほとんどおらず、アクアスキュータムやダーバンなどの主力ブランドを磨き上げられなかった」と指摘する。

2010年に中国の繊維大手である山東如意科技集団の傘下に入った後も、小売りのノウハウに乏しい山東如意の経営幹部は売り上げを回復させるための適切な指示が出せずじまいだった。山東如意からの出資は“延命措置”にはなったものの、時代の変化に応じたビジネスモデルの見直しはできなかった。

民事再生手続きの開始後、コスト圧縮を進めるため6月にはグループ全体で300人程度の希望退職者を募集。その後も複数回の整理解雇を行い、8月末時点でのレナウン単体の社員数は250人にまで減少する予定だ。そして残った社員の多くも、譲渡が決まったブランドの事業部の人員を除き、会社の清算とともに解雇される見通しだ。

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