金価格は「第3のエンジン」点火で再度急騰する いったん落ち着いても、いずれ上昇の可能性
金相場の上昇が一服している。だが、筆者は上昇が止まったとは考えていない。むしろ中期では歯止めが利かなくなってきたのではないか。
金価格は7月の半ばまでは1トロイオンス(約31.1グラム)=1800ドル台前半の比較的狭いレンジでの膠着状態が続いていたが、急速に騰勢を強め、1900ドル台をあっさりと「素通り」。8月に入ると一気に2000ドル台後半まで値を伸ばす展開となった。
その後、8月第2週には一転して売り圧力が強まり、1800ドル台後半まで価格調整が進んだが、現在も1900ドル台半ばを中心としたレンジを維持しており、上昇の勢いはまだまだ衰えていないように思える。
FRBの金融緩和は、今後も「上昇の原動力」に
金は短期的に見れば割高感も依然として強く、ポジション整理の売りに改めて大きく押し戻される場面があっても不思議ではない状況にある。
だが、大幅な価格調整が見られても、押し目ではそれ以上の勢いで買いが集まり、さらに値を切り上げるというパターンを繰り返しているのが、今の金相場だ。一体この上昇はどこまで続くのか、ここでは足元で相場上昇を後押ししている要因を、改めて検証してみたい。
私は金相場に関して、今年に入ってから一貫して強気の立場をとっている。1月10日付のコラム「中東情勢緊迫で2020年は金が一段と上昇する」 では当時1トロイオンス=1500ドル台だった価格が年内に1800ドルまで上昇すると予想。相場が1600ドル台半ばにまで急伸した2月25日付のコラム 「金価格はこれから一段と上昇する」と読む理由」 では、2000ドルまで目標価格を引き上げた。
その後、新型コロナウイルスの感染拡大やロックダウン(都市封鎖)による経済の停滞という想定外の要因もあり、2020年をまだ4カ月残した時点で早々と2000ドルの大台突破を達成した格好となったが、強気見通しを維持する2つの理由は全く変わっていない。
FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめ、世界の中銀が積極的に金融緩和策を進める中で、金市場へ投機資金が流入していること。もうひとつは、世界経済や国際経済の先行き不透明感の高まりに伴う、安全資産としての需要の高まりである。
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