コロナ後の経営戦略において最も重要な柱は、間違いなく「人材戦略」である。日本企業は昭和、平成と続いた「人材についての考え方」を根本から変える必要がある。
日本企業の高度成長を支えた「終身雇用」「年功序列」「新卒一括採用」といった考え方は、もはや通用しないばかりか、会社の競争力を削ぐものになってしまっている。
安定し、先が読める環境であれば、集団行動は機能する。みんなが1つにまとまり、一緒に汗をかけば結果につながる。
しかし、先が読めない不透明な時代において必要なのは、「個の突破力」である。「卓越した個の直感」や「抜きん出た行動力」が会社を救う。
人材は「新たなレールを敷く人間」と「誰かが敷いたレールの上を走る人間」の2つに大別できる。いま求められているのは、前者の「荒地をものともせず新たなレールを敷こうとする気概と才能を持つ人材」であることは間違いない。
日本においても、人材の流動性は間違いなく高まっていく。とくに、有能な人材ほど1つの会社にしがみつくことはしない。自分を高め、活かせる「機会」があれば、喜んでチャレンジする。
こうした人材を確保し、適切に処遇するためには、既存の人事制度では限界がある。高度専門性を有する「プロフェッショナル人材」を処遇する市場価値ベースの新たな人事制度をつくり、既存の制度と両立させるハイブリッドな仕組みが求められている。
すべては「実行できるか」どうかにかかっている
これまでに紹介した4つの経営戦略(SPGH戦略)、つまり「サバイバル戦略(Survival)戦略」「生産性戦略(Productivity)」「成長戦略(Growth)」「人材戦略(Human Resource)」は、どれも当たり前のことばかりである。会社が窮地に陥れば、誰もが考える常識的なことばかりだ。
つまり、「やるべきこと」はわかっているのだ。あとは、それを「実行できるか」どうかにかかっている。コロナ後に起きる変化を読み解き、その変化を先取りし、先手先手で手を打たなければ、私たちはコロナの大渦に呑み込まれてしまうだろう。
その際に求められるのは、「強力なリーダーシップ」と「戦略の実行を前に推し進める現場力」だ。
「判断」ではなく「決断」ができる経営トップと、自分たちの手で難局を乗り越え、未来を切り開いていこうとする足腰の強い現場がそろった企業だけが、コロナ後に勝ち残る。
いま日本企業が試されているのは、「本気で実行するか」どうかである。
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