コロナ後に「Uターン」した女性が受けた仕打ち 地域の人たちに疑いの目で見られるストレス

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地方から上京して都心で仕事をしていると、晩婚や高齢出産が当たり前になってきている昨今、仕事が好きな女性はキャリアアップを最優先で、家庭を持つというのは後回し。家庭とキャリアアップの両立がまだまだ厳しい日本では、どうしてもどちらかを選ばなければならない、忙しくて恋愛をしているヒマがない、なんて会話も日常茶飯事です。

朱里さんは現在32歳という年齢で、言ってみれば女性が結婚や出産などを強く意識する年齢でもありますから、恋人がいない状況で結婚の予定もないということが、周囲との比較を強めてしまい、最近では、もう何に悩んでいるのかもわからなく、とりとめのない不安感が毎日襲ってくるといいます。

結婚や出産は人生の中でもとくに大きなイベントですし、計画していたとおりにいくというものでもありません。ましてや周囲と比較して決めることではなく、自分自身で“一生一緒にいたい”と思える人と出会ったときに自分の心の中で決めることです。

30歳を過ぎた女性の結婚・出産はとてもデリケートなテーマで、1度は焦燥感を味わった経験があるという方が多いのではないでしょうか。

「そんなの言われなくてもわかっているわよ! でも出会いがないんだもの、仕方ないじゃない!」なんて、たんかを切って言えるようなタイプだといいのですが、朱里さんのような内向性の強い繊細さんタイプの方で苦しい思いでいる方は少なくありません。

それでもずっと黙って我慢していたのでは、母親からすれば「自分の言葉が届いていないのではないか」と何度も繰り返し言ってしまいますし、元をたどれば娘を心配してのことと思いますので、結婚や出産について自分の人生の中でどう考えているのかということはきちんと伝えたほうがいいでしょう。

周りがどうかではなく、自分がどうしたいのか

そしてなにより、“自分は劣っている”と感じてしまう対象の人ばかりを目に入れるのではなく、結婚していなくても幸せで充実した生活を送っている仲間や、年齢を重ねてからすてきな出会いに恵まれて幸せになっている人がいるということも思い出して、“周りがどうかではなく、自分がどうしたいのか”ということをよく考えて自分と向き合う時間をつくったほうがいいと、この日はお伝えしました。

朱里さんも「そうですよね。頭ではわかっているのですが、何しろ田舎の狭いところにいると、思考に自由が利かなくなるような感じがして。でも自分を見失わないようにしっかりしなければいけませんね」と少しほっとしたような表情をし、声も明るくなっていました。

しかし、その状況に追い打ちをかけたのが8月に入ってからです。

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