急成長するフェイスブックの「次の一手」 開発者会議「F8」で見せた、新たなフェイスブック
メッセージは「モバイル」と「ユーザー」
基調講演に立ったフェイスブックの創業者でCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、モバイルとユーザーへのフォーカスを強調した。
モバイルについては、最も安定したモバイルプラットホーム、インフラになることを約束している。
まず現在のほかのプラットホーマーが進める垂直統合を批判した。アップルはiOSとiPhone、グーグルはAndroidとGoogleサービス、ウィンドウズはWindowsとWindows PhoneやSurfaceといった具合で、デバイスとソフトウエアとサービス、アプリ開発環境を独自に発展させている。そして幾分オープンなウェブの世界もある。開発者は、より多くのユーザーを獲得したい場合、各プラットホームに対する最適化に長い時間を費やさなければならない。
こうした手間を、フェイスブックによって解決しよう、というのが提案だ。これは、デバイス環境を持たないフェイスブックが持つ危機感の裏返しでもある。モバイルプラットホームが大きくみればiPhoneとAndroidとウェブに限られてきた昨今、フェイスブック上にアプリを提供していれば安泰、という認識を持っている開発者や起業家は、もはやいなくなってしまった。
またデスクトップからスタートしたフェイスブックは、インスタグラム、ワッツアップといったキラキラ光るスタープレーヤー的アプリ企業を買収した。またFacebook Messengerも、こうしたいいモバイルアプリの仲間入りをしようとしている。アプリごとの活躍から、フェイスブックそのものがモバイル分野で活躍する状況へと、いかに転換するかという課題への答えが、モバイルプラットホームとして信頼を得ていくことだ。
もうひとつ、ザッカーバーグ氏のプレゼンテーションで指摘していたのが「People First」というフレーズだ。
まず紹介したのが、匿名ログイン機能。フェイスブックは、外部のサービスに対して、フェイスブックアカウントを利用してログインすることができる。この方法は手軽で便利だが、フェイスブックにあまりに多くの情報が集まりすぎており、また、外部サービスが自分のフェイスブックのデータを見たり、自動的に投稿したりする点へのわかりにくさから、ユーザーから不安だというフィードバックがあるという。そこで、フェイスブックのログイン認証を利用するが、外部アプリに自分のデータを渡さないで利用できるようにするのが匿名ログインだ。
また外部アプリが自分のフェイスブックアカウントでどんな挙動をするのかをよりわかりやすくし、ひとつずつの挙動に対してON/OFFをコントロールすることができるようにするという。プライバシーやセキュリティに関する透明性やユーザーから見た自由度、納得感を高める作業は、フェイスブックユーザーがプラットホームをより活用してもらうために不可欠と言え、開発者に対する説得力を高めることにもなる。
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