急成長するフェイスブックの「次の一手」 開発者会議「F8」で見せた、新たなフェイスブック

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ハッカーマインドと、ビジネス色と

純粋なクラウド環境とは違うが、ビジネスやアプリケーションを動作させる統合環境としてフェイスブックが成熟することは、多くのスタートアップが「使わない理由がない」と利用しているAmazon Web Service(AWS)との将来的な競合を想起させる。AWSとの違いを指摘するなら、現段階で10億人存在しているフェイスブックユーザーと、広告出稿、広告設置が可能な環境を持っている点かもしれない。

基調講演最後の「Monetize」で登場したデボラ・ルイ氏は、ペイパル、買収先のイーベイを経てフェイスブックに入り、現在はプラットホームのマネタイズを見ているディレクターだ。彼女が発表したのは、Facebook Audience Network。つまりフェイスブック広告のサードパーティ向け配信を行うアドネットワークサービスだ。

マネタイズについて紹介するDeborah Lui

アプリ開発者の6割がモバイル広告を活用しているとしており、フェイスブックとして、アプリ内に簡単に広告を配置できるようにするものだ。広告のスタイルを選んだり、ユーザーに最適化した広告を入れられるようになる。また出稿側は、フェイスブックのニュースフィードのように、コンテンツのような広告や、アクションを促す広告を入れられるようになる。このことは、ユーザーが広告を「楽しむ」文脈が生まれる可能性を秘めている。

アドネットワークへの参入もさることながら、F8でこうした発表が行われること自体、変化といえる。それまではハッカーの集まりのように、技術的な発展ばかりが伝えられる場だった。そのため、開発者は楽しめるが、一般ユーザーやビジネスパーソンにとって、それが将来、何を興すものなのか理解するのに時間がかかった。

しかし今回のプレゼンテーションは、非常に洗練され、将来、ビジネス上で何が起きるのかが明確だった。こうした点から、フェイスブックそのものの成長や変革を感じることができる、久々のF8だったと振り返ることができる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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