「偏差値見て近所の高校を選ぶ」時代が終わる訳 離島留学、通信制…才能引き出す新しい進学先

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島留学制度を利用するのは東京、大阪など都会育ちの生徒が多いが、大野氏は「半数ほどいる島育ちの生徒にもよい影響を与えている」という。都会育ちの生徒と触れ合うことで、島内に限定されていた世界観が広がっていくのだという。

自然に囲まれてさまざまな体験をするだけではない。進路希望を見つけ、実現するためのサポート体制もある。この役割を担っているのが地域連携型の公立塾「隠岐國学習センター」だ。ここでは個別の学習計画に沿って自立学習をする。元教員や民間企業出身のスタッフがおり、習熟度に合わせて個別に指導を受けることもできる。また「夢ゼミ」と呼ばれる対話や実践をとおして自分の興味や夢を明確にしていくカリキュラムも用意されている。

隠岐島前高の成功がきっかけとなり、全国の地方高校が留学制度の創設に動き出した。2017年には一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが設立され、島根県・隠岐諸島に限らず、全国の留学先を案内する「地域みらい留学」という取り組みが生まれた。

現時点で北は北海道の礼文島から南は沖縄県の久米島まで、全国25道県68校がこの取り組みに参加している。瀬戸内海の離島に位置する広島県立大崎海星高等学校や、ブランド米を育てる棚田が広がる地域にある高知県立嶺北高等学校など、定員を上回る志願者が殺到する人気校も増えている。

離島・地方留学希望者が増えている

評判が広がり留学希望者も増えている。同財団法人は2018年6月から「地域みらい留学フェスタ」と呼ばれる留学希望者向けの説明会を始めた。昨年の説明会には、前年比倍増の1000組2000人強の親子が参加した。今年はコロナ禍の影響でオンライン開催となったが、昨年以上の反応があるという。

地域・教育魅力化プラットフォームの尾田洋平事務局長は「変化が大きく、未来を見通すのが難しい時代。未来を自分の手で創っていける人材が求められている。大学入試も主体性や協働性、探究性が問われるものに変わろうとしている。意識が高く、社会の変化に敏感な保護者が“高校3年間を地方で過ごして、これからを生き抜く力を育んでこい”と送り出す傾向が目立っている」と語る。

2021年春の入学生からは、「地域みらい留学365」と呼ばれる高校2年生のときだけ地方の高校に留学する取り組みも始めるという。離島・地方留学がより身近な選択肢になりそうだ。

偏差値や中学校の成績を基に近所にある高校を選ぶという考え方はもはや過去のものになりつつある。

『週刊東洋経済』8月29日号(8月24日発売)の特集は「本当に強い高校」です。
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