「偏差値見て近所の高校を選ぶ」時代が終わる訳 離島留学、通信制…才能引き出す新しい進学先
2021年にはテクノロジー教育に特化した「CLARK NEXT Tokyo」を東京・板橋に開校する予定だ。コースは「eスポーツ」「ゲーム・アプリ」「ロボティクス」の3つで、教科学習は個別最適のWeb学習システムを用い、専門の授業は社会で活躍するプロが教える。
10階建ての校舎内には、「eスポーツアリーナ」を建設する予定で、生徒が企画し、他校や社会人を巻き込んだeスポーツ大会を開催することなども想定している。業務推進部入試広報課の成田康介氏は「好きなことをとことんやる力を使い、学習モチベーションを高めるのが狙い。柔軟な対応ができる通信制だからこそ、新しい学びに挑戦できる」と語る。
コロナ禍において、全日制の高校がオンライン授業への対応に時間を費やす中、通信制高校はほぼ平時と変わらない学習環境を提供することができた。教科学習に加え、フレキシブルに自分の好きなことに取り組むことができる通信制高校のよさが評価されていくだろう。
3年間の離島生活で自律心や行動力を磨く
新しい選択肢のひとつとして注目を集めているのが、高校3年間を離島や地方の高校で過ごす「離島・地方留学」だ。自然豊かな環境で学べるほか、寮生活やホームステイを通じて思いやりや自律心、行動力を身に付けられるのが魅力だ。
その先駆けとなったのが、島根県立隠岐島前(おきどうぜん)高等学校だ。もともと隠岐諸島島前地域の住民の高校進学の受け皿だった同校は、2012年に全校生徒が89人とピーク時の3分の1にまで減少した。そこで「島留学制度」を導入し、この8年間で150人以上の留学生を受け入れてきた。その結果、今では当時の倍以上の生徒を確保している。
離島ならではの環境を生かしながら学習に取り組む。例えば、隠岐島前高の「夢探究」の授業では、地域社会の課題を考え、実行するという一連の流れを体験する。「あるグループは、本土に移動するためのフェリーの乗船時間の3時間をどう過ごすかということを考えた。キッズスペースがないので親子連れには大変など、いくつかの課題を挙げ、改善策を議論した」。そう話すのは、同地で島留学の推進を担う隠岐島前教育魅力化プロジェクトの大野佳祐氏だ。
成功の要因には、留学制度と併せて始めた「島親制度」も大きい。寮は整備されているが、島留学をした生徒一人ひとりに「島親」を担当する住民を割り当てる。島親が釣りやバーベキューに誘ったり、地域の祭や運動会に参加を促したりして、地域住民と交流する。「島親との交流を続ける卒業生もいる」(大野氏)。こうした制度が島留学をさらに充実したものにしている。
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