AIに読解力があると思う人に知ってほしい現実 学生の新常識は「シンギュラリティ=黒歴史」だ
XLNetで学習させたところ、たちどころに150点台に点数が上がった。この結果は何を意味しているのだろう。
統計的アルゴリズムの観点から考えると、答えはシンプルだ。日本のセンター入試英語と中国で実施されている中高校生向けの英語テストが、機械の視点から見ると「とてもよく似ていた」のである(やってみなければわからないが、The New York TimesとかThe Timesの過去50年分の記事に出現する英語は、センター入試英語とは、だいぶ特徴が異なるだろう)。
さらに、英語チームが独自の学習をさせたところ、あっさりと185点をたたき出してしまった。
私は、自分でも2019年のセンター入試を解き、東ロボがどの問題に正答したのか確認した。最もショックを受けたのは、「不要文除去」と呼ばれる次のタイプの問題だった。
東ロボが正答した問題とは
「アメリカ合衆国を飛行機で横断する際、コンクリートで作られた巨大な矢印が地上にあるのを目にすることがあるかもしれない。今日では、これらの矢印は単に好奇心をそそるにすぎないが、かつては、アメリカの片側からもう片側に飛ぶパイロットにとっては不可欠なものだった。①この矢印が大変役に立ったため、大西洋上にも浮く矢印を設置してはどうかと提案する人さえいたほどだ。②パイロットたちはニューヨーク - サンフランシスコ間のフライトで矢印を目印として使った。③16キロごとにパイロットたちは鮮やかな黄色に塗られた21メートル長の矢印を通過することになる。④中央の回転灯と両端のライトのおかげで、矢印は夜間でもよく見えた。1940年代に矢印に替わるナビゲーション方式が導入され、矢印は今日では基本的には使われていない。ただし、モンタナ州の山沿いの地方を飛行するパイロットは、いまだにそれらのいくつかに頼っている。」
③と④は必要だ。取り除くとしたら①か②。私は迷った。①は文脈からすると唐突だ。普通に考えれば①を除去すべきだろう。だが、②も怪しい。なぜなら「アメリカの片側からもう片側に飛ぶパイロットにとっては不可欠」という前文と重複するからだ。
同じような二文を重ねるのは、やぼったい。母校のイリノイ大学で受けた英文添削指導コースならば、きっとそう指摘されただろう。前文を「かつては、ニューヨーク - サンフランシスコ間のように、アメリカの片側からもう片側に飛ぶパイロットにとっては不可欠なものだった」と書くように、と。あれこれ悩んだ挙句②を選んだ。
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